日立製作所は2017年10月31日、統合システム運用管理ソフトの新版「JP1 V11.5」を11月1日に販売開始すると発表した。システム障害の調査や分析を支援する「JP1/Operations Analytics(JP1/OA)」の管理対象を拡大、ジョブ運用管理の「JP1/Automatic Job Management System 3(JP1/AJS3)」は処理性能を引き上げた。「IoTの進展やクラウドの本格活用などデジタルシフトが加速するなか、IT運用の最適化に向けて機能強化を図った」(ITプラットフォーム事業本部 ITマネジメントソリューション開発部の加藤恵理氏)。

 JP1/OAは、欧州SAPのインメモリーデータベース「SAP HANA」やオープンソースのシステム監視ツール「Zabbix」、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」などのクラウドサービスを構成管理の対象に追加。業務システムの健全性を可視化する範囲を拡大した。

「JP1/Operations Analytics(JP1/OA)」でZabbixやAWSなどの構成も可視化
「JP1/Operations Analytics(JP1/OA)」でZabbixやAWSなどの構成も可視化
(出所:日立製作所)
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 JP1/AJS3は、業務システムの多様化、大規模化による業務量増大に向けて、ジョブ実行性能を向上させた。「ハードウエアやOSのリソース利用効率を引き上げた結果、V11に比べて約10倍のジョブが実行できるようになった」(加藤氏)。

機械学習の活用支援サービスを開始

 JP1は、今後はAI(人工知能)活用で人手による運用作業を無くす「運用レス」に向かうとの方向性を打ち出している。その一環として、6月に発表したJP1を使った「IT運用最適化サービス」において、機械学習の活用を支援するサービスを11月30日から提供する。

 イベント情報のエスカレーション判定や、障害分析の支援、障害予兆の検知など「判断」「提案」「予測」といった分野への機械学習の適用を想定。「現状分析から要件定義、機械学習の適用、フィードバックといったPoC(概念検証)を3~6カ月で顧客と行い、機械学習の効果があるかどうかを見極める」(加藤氏)。

 日立製作所はJP1主要製品をサブスクリプション提供する意向を表明、「2017年度中に販売、出荷開始する予定だ」(加藤氏)。ユーザーは年契約の定額払いでJP1を利用できるようになり、初期投資を抑えられる。JP1 V11の発表は2017年1月であり、「わずか10カ月という短期間での新版発表はこれまで無かった」(加藤氏)。顧客要望などによるJP1 V11.5の機能強化は70項目を超えるという。ビジネスやITの進化がスピードアップするなか、JP1の開発ピッチも上がってきた。