日立製作所は2017年10月26日、2017年4~9月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比0.5%増の4兆3764億円、調整後営業利益(売上高から売上原価と販管費を除いた値)は同30.2%増の3032億円と、増収増益だった。

 営業利益は「第2四半期累計としては過去最高」(西山光秋執行役専務CFO)。日立物流や日立キャピタル、日立工機の再編で2620億円の減収影響があったが、日立建機や日立化成などのM&A(合併・買収)や鉄道システムなどの事業拡大で1846億円の増収、為替によるプラス影響(約1000億円)も加わり、全体で増収を記録した。

日立製作所の西山光秋執行役CFO(最高財務責任者)
日立製作所の西山光秋執行役CFO(最高財務責任者)
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 事業部門別に見ると、「情報・通信システム」の売上高は前年同期比0.7%増の9333億円、調整後営業利益は同36.9%増の761億円と増収増益だった。SI事業は国内を中心に堅調で、特に金融や公共・社会分野が好調とする。「金融ではグローバル化を進めている企業のシステム構築や、フィンテック関連の受注が増えている」と西山CFOは説明する。ATM(現金自動預け払い機)の販売が減少したが、フラッシュストレージの販売増加やITプラットフォーム&プロダクツの事業構造改革の効果などが補った。

 日立が注力するIoTを中心にした基盤サービス「Lumada」関連の事業は、2017年4~9月期の売上高が4520億円と、進捗率が年間見通し9500億円の48%となった。計画では44%だったため、「計画以上の進捗だ」(西山CFO)。「Lumadaは引き合いやユースケースが増えており、代表格がダイキン工業とトヨタ自動車」と西山CFOは述べる。多くの協業が現在実証実験の段階であり、今後大きな売り上げに貢献すると期待する。

 2017年9月に設立した米国の「日立ヴァンタラ」についても言及。ハード事業の売上減少に対応すべく、構造改革を進めているという。ハードに関しては米国、日本双方で開発製品の絞り込みを進めている。例えばストレージに関しては、好調なフラッシュストレージへの移行を進めている。

 2018年3月期の通期業績予想についてはさらなる成長を見込み、売上高は前期比1.5%増の9兆3000億円、調整後営業利益は同12.4%増の6600億円に、それぞれ上方修正した。日立国際電気の売却予定を延期して2018年度以降になった影響と、日立国際電気などの半導体製造装置や日立建機の建設機械が好調であることを考慮した。

■変更履歴
公開当初、調整後営業利益、ならびに通期業績予想の上方修正に関する説明の一部に誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/10/27 13:25]