富士通は2017年10月26日、2017年4~9月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比0.8%増の1兆9232億円、営業利益は同39.3%増の280億円と、増収増益だった。

 システム構築サービスやITインフラ機器の「テクノロジーソリューション」事業は売上高が同0.6%減の1兆4103億円、営業利益が同15.8%減の448億円。同事業はニフティの個人向け事業を売却した影響で減収となり、ネットワーク機器の販売減や法的紛争に伴う70億円の損失などで減益を記録した。

 説明会に登壇した塚野英博副社長は「企業のIT投資に対する位置付けがコストから投資へと変わり、順風が吹いている状況だ」と話した。ニフティの個人向け事業の売却に伴う減収影響は260億円。それを除けばテクノロジーソリューション事業は1.2%の増収だった。

2017年4~9月期連結決算を説明する富士通の塚野英博副社長
2017年4~9月期連結決算を説明する富士通の塚野英博副社長
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 このうち、システム構築やソフトウエアなどの事業は「金融分野の大規模プロジェクトが終了し、公共分野のマイナンバー関連事業もピークを過ぎたが、製造や流通、サービス業、ヘルスケアなどが伸びて高水準だった前年実績を上回った」(塚野副社長)。インフラサービスやサーバーなども伸びた。下期については「国内のサービス事業は堅調。海外は底から回復しつつあるが、まだ伸びが不十分だ。昨年までの事業構造変革の成果を下期に引き出していく」(同)と述べた。

 最終利益は同266.5%増の434億円だった。富士電機との株式持ち合いの見直しによる売却益273億円が大きく寄与した。通期予想には売却益を含めず、前回予想の最終利益1450億円を据え置いた。塚野副社長は「見通しを上回ることがほぼ確実なところまで来たが、ネットワーク機器など一部の事業に不透明感が残るため、据え置いた」と説明した。

 1年前に発表した中国レノボ・グループとのパソコン事業の提携については、「アディショナルタイムに入ったような状況」(塚野副社長)と表現。細部にわたり深く議論しているため時間を要しているが、11月末ごろまでには結論が出るとの見通しを示した。携帯電話事業については「まだ決まったことはない。手続きを粛々と進めていく」(同)と話した。

 同日、ソフトウエア開発を手掛けるジャスダック上場の富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)を株式交換で完全子会社化すると発表した。富士通は富士通BSCの株式を56.44%保有している。富士通BSCの株式1株に対して富士通株1.63株を割り当てる。2018年2月1日に実施する予定。富士通BSCの組み込みソフトやセキュリティソフトなどの開発能力を本体に取り込み、人材配置の自由度を高めながらITサービス事業の競争力を高める。