日立製作所は2017年10月25日、IoTソリューション「Lumada 2.0/J サービススタック」の国内提供開始を発表した。IoT関連ソフトを集めたプラットフォーム「Lumada」のアーキテクチャーを見直した上で、データ活用や運用支援、同社ノウハウなどをまとめて提供する。

 Lumadaの新版2.0は米国では9月に日立ヴァンタラと発表済み。「米国では顧客自らシステム構築を手掛けるのでLumada基盤があれば十分。日本では基盤だけでは弱いので、ソリューションも一緒に提供しIoT活用を後押しする」。日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 シニアテクノロジーエバンジェリストの中村輝雄氏は、Lumadaの国内戦略をこう説明する。

 Lumada 2.0はアーキテクチャーを「Edge」「Core」「Analytics」「Studio」「Foundry」の5つのコンポーネントに体系化、それぞれに最新のオープンソースソフトウエア(OSS)を選択できる。

IoTプラットフォーム「Lumada 2.0」のアーキテクチャー
IoTプラットフォーム「Lumada 2.0」のアーキテクチャー
(出所:日立製作所)
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コンポーザブルかつポータブル

 Lumadaを使ったIoTデータの収集、蓄積、分析の流れはこうだ。機器やSNSといった「OTアセット」から様々なデータをEdgeに取り込む。Coreでは収集したデータを蓄積し、アセットアバターを作る。アセットアバターは機器をデジタルモデル化して、故障検知などを予測するための独自機能だ。

 AnalyticsはOTとITのデータを合わせて分析、機械学習やAI(人工知能)を駆使してパターンを抽出し異常検知などを行う。警報や通知などはStudioを通じて担当者に届ける。Foundryはオンプレミス環境やクラウドサービスなどITインフラを担う。

 「コンポーザブル(Composable)かつポータブル(Portable)なのがアーキテクチャーの特徴」と中村氏は話す。AnalyticsはPentaho、Foundryは日立のクラウドなど、5つのコンポーネントには同社の製品・サービスを用意するが、他社製も利用可能にするのがコンポーザブルの考え方。「既にAWSを利用している、採用する分析ツールを決めているといったユーザーもあるので、コンポーネント単位で組み合わせ自由にしておくのが重要だ」(中村氏)。

 ポータビリティは、Lumadaをクラウドとオンプレミス環境の両方で稼働できるようにして確保する。「製造業では、PoC(概念検証)は日立のクラウドで行うが、データを社外に出したくないので本番環境は工場に置く、といった案件もある。Lumadaはこうしたニーズに応えられる」(中村氏)。