「AIで受け答えをするチャットボットの業務利用はまだ早いと思う」。パイプドビッツが2017年10月20日開催した「SBCF 2017」に登壇したチャットプラスの西田省人CEOは、企業のWebサイトに設置するチャット機能とチャットボットの現状を解説した。チャットプラスはWebサイトへのチャット設置サービスを提供する2016年創業のベンチャー企業だ。

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 西田CEOは「Webサイトにチャット機能を付けると、問い合わせが増える、顧客対応の満足度が上がる、問い合わせ対応のコストが下がるといった効果がある。日本では導入企業が少ないが、米国では上場企業の半数、大手サイトの80%がチャットを導入している」と紹介。電話、FAX、メールに続く、消費者と企業のコミュニケーション手段の柱になると主張した。

 この分野で最近注目を集めているのが自動応答する「チャットボット」だ。特にAIを活用して、顧客の問い合わせを解析して適切な答えを返す利用方法が脚光を浴びている。西田CEOは「実際の現場では、AIを活用したチャットボットの導入は失敗しやすい」と話す。AIへの過度の期待に応えられない、導入コストが数百万円以上と高額になる、といった点が原因だ。

 現在の技術で推奨するのは、会話のシナリオを想定して選択肢のボタンを設置する「シナリオ型チャットボット」と有人対応の組み合わせだという。「チャットで聞かれる質問の7~8割はほぼ同じ。例えばECサイトだとパスワードを忘れた、商品のキャンセル方法を教えて欲しい、などだ。シナリオ型チャットボットでそうした質問に自動応答し、ボットで対応できない質問は人が対応すればいい」(西田CEO)。

 西田CEOはチャットボットでのAI活用は段階的に進むと予測する。まずは、シナリオ型チャットボットでの選択肢の提示をAIで自動化する。フリーワード(話し言葉)でAIが自動応答するのは、その先になるだろう、という見解を示した。