米レッドハットのジム・ホワイトハースト社長兼CEO(最高経営責任者)は2017年10月20日、東京都内で開いた記者会見で企業のデジタル変革における同社の取り組みについて説明した。「デジタル変革にはDevOpsによる迅速なアプリケーション開発が欠かせない。オープンソースソフトウエア(OSS)を開発するコミュミニティーはまさにDevOpsを進めている。OSSをベースとする当社製品はまさにDevOps開発に最適」とし、同社製品がデジタル変革を支えると訴えた。

米レッドハットのジム・ホワイトハースト社長兼CEO(最高経営責任者)
米レッドハットのジム・ホワイトハースト社長兼CEO(最高経営責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 ホワイトハーストCEOは、人工知能(AI)や機械学習に代表される新技術の多くがLinuxを基盤にOSSとして生まれている現状を説明。新技術をいち早くビジネスに生かすにはOSSが最良の選択肢であり、企業向けに新技術と品質を両立できる同社の製品とサポートが企業のデジタル変革を支える強みになっているとした。

 会見で前面に出したのは同社のコンテナ基盤「OpenShift Container Platform」だ。Dockerコンテナ管理ツールのOSSである「Kubernetes(クーバネテス)」の商用版であるOpenShiftは、同社の2017年度第2四半期(6~8月)のアプリケーション開発製品分野の業績を前年同期比44%増に高めた立役者という。「金融や政府官公庁、通信といった業種以外に、小売りなどの伝統的な企業もコンテナ環境を活用し始めている」(ホワイトハーストCEO)。

レッドハット製品の業種別の採用状況
レッドハット製品の業種別の採用状況
[画像のクリックで拡大表示]

 OpenShiftが伸びた理由としては、Kubernetesのサポート実績と、従来型のステートフルなJava EEアプリケーションをコンテナ環境に容易に移行できる点を挙げた。日本国内の事例にも言及し、ソフトバンクの業務システム開発で2週間に1回の頻度だったデプロイ(展開)が2週間で118回に高まったとした。

 OpenShiftをめぐっては、Dockerを開発した米ドッカーが2017年10月17日に、Dockerコンテナ管理ツールとして自社開発のSwarmに加えてKubernetesを採用すると発表。OpenShiftと競合する動きを見せている。会見に同席した、レッドハットの製品/技術を統括するポール・コーミア上級副社長/テクノロジー部門社長は「Linuxは商用版のRed Hat Enterprise Linuxを15年、Kubernetesは(商用版の)OpenShiftを4年扱ってきた実績がある」点を強みとして挙げた。

米レッドハットのポール・コーミア上級副社長/テクノロジー部門社長
米レッドハットのポール・コーミア上級副社長/テクノロジー部門社長
[画像のクリックで拡大表示]