ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年10月19日、プログラミング学習アプリ「プログラミングゼミ」の無料配信を開始したと発表した。小学校低学年を対象にしたビジュアルプログラミングツールで、「楽しみながらプログラミングを学べる」(DeNA 南場智子代表取締役会長)ことを重視する。東京都渋谷区が区立小学校に配布したタブレット端末全台にプログラミングゼミを導入し、授業に活用することも明らかにした。
プログラミングゼミは、ブロック状のアイコンを組み合わせることでプログラムを組み立てられるアプリ。パズルを解く、オリジナル作品を作るなどの作業を通じてプログラミングの概念を学ぶ。低学年の子供でも理解しやすく楽しんで使えることを目指した。iOS/Android/Windowsに対応する。
特徴は、「公立小学校の授業で、効率的な学習ができる」(DeNA 川崎修平取締役)こと。プログラミング教育に費やせる授業時間や指導教員数は限られる。その中で重要なポイントをスムーズに学べるよう、様々な工夫を盛り込んだ。
一例が、紙に描いた自分の絵をカメラ機能で撮影し、プログラミングゼミ内に取り込める機能。自分が描いた絵を動かせる仕組みは他の学習ツールにもあるが、まずツール内の描画機能を使って絵を描き、それをプログラムで動かすものが多い。「絵を描くことに時間を取られてしまい、本題のプログラミングにたどり着けないことがある。プログラミングゼミなら図工などの作品を活用でき、自分の作品を動かすことで子供たちのモチベーションも高まる」(プログラミングゼミを開発した、DeNAの末廣章介氏)。
こうした工夫は、同社が2014年からCSR活動の一環として続けてきたプログラミング教育への取り組みから生まれた。佐賀県武雄市や神奈川県横浜市の公立小学校で実証研究授業を実施し、前身となるプログラミング学習ツールを配布。開発者である末廣氏自らが講師を務めた経験や、現場の教職員から寄せられた意見などを反映し、プログラミングゼミとして一般に公開した。DeNAの川崎氏は「小学校低学年のうちに、“プログラミングは楽しい”という原体験をしてほしい」と話す。
プログラミングゼミの開発・公開もCSR活動と位置付けており、無料で配布する。民間のプログラミングスクールなども、無料で利用できるという。DeNAとしての事業化については、「現時点で計画はない。ただプログラミング教育をさらに充実させて社会の役に立つために、何らかの形で事業化することにも意義はあると考えている」(南場氏)とした。