SAPジャパンは2017年10月17日、デジタル化を支援するための製品・サービス群「SAP Leonardo」の日本市場への展開を本格的に開始し、顧客企業のイノベーションを支援するためのサービス「SAP Leonardo Innovation Services」を提供すると発表した。

 SAPジャパンの福田譲社長は「イノベーションは突然、思い浮かんで生まれるものだと考える人は多いが、成功要因を分解して体系化することでパッケージ化できる。それを実現したのがSAP Leonardoだ」と強調。「SAPはこれまで、多くの企業の業務を細分化し、それを汎用化することでERP(統合基幹業務システム)パッケージとして提供してきた。イノベーションについて全く同じことをしたのがLeonardoだ」と福田社長は説明する。

SAPジャパンの福田譲社長
SAPジャパンの福田譲社長
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 SAP Leonardoの実態は「企業のデジタル変革を支える製品やサービスを包括するブランド」(SAPジャパンの小野田 久視 IoT&Digital Supply Chain事業部 部長)だ。IoT(Internet of Things)や機械学習などのクラウドサービスと、デザイン思考を使ったコンサルティングサービスを提供するイノベーション支援サービスから成る。

SAPジャパンの小野田 久視 IoT&Digital Supply Chain事業部長
SAPジャパンの小野田 久視 IoT&Digital Supply Chain事業部長
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 SAP Leonardoとして提供するクラウドサービスには、IoTや機械学習のほかに、ブロックチェーン、分析、ビッグデータ、データインテリジェンスの六分野の機能が含まれる。イノベーション支援サービスでは、デジタル化に向けたアイデアの創出から、アイデアの実現に必要なソフトウエアのプロトタイプの作成、それを基にしたソフトウエアの開発・リリースなどの作業を支援する。

 10月17日から提供を開始したSAP Leonardo Innovation Servicesでは(1)express edition、(2)open innovation edition、(3)enterprise editionの3種類のメニューを用意した。(1)と(2)は、「短サイクルでパイロットプロジェクトを進めたい企業のためのサービス」(小野田部長)だ。

 (1)は既にSAPで導入経験があり、ベースとなるソフトウエアが存在する領域に向けて提供するサービスだ。8週間以内で、プロトタイプの作成からソフトウエアの開発、導入を終える。(2)はSAPが導入経験のない領域向けで、SAPのPaaS(Platform as a Service)「SAP Cloud Platform」などを利用しながら新規にソフトウエアを開発していく。

 (3)もSAPの導入経験がない領域向けで、複数のソフトウエアの作成を前提としたサービスとなる。いずれのサービスも料金は案件ごとの個別見積もりになり、「『車1台を接続すると1000円』といった価格付けから、『プロジェクト全体でいくら』といった案件まで、様々なパターンが想定できる」(小野田部長)という。

 SAPジャパンは2017年10月12日にSAP Leonardo向けのパートナーコンソーシアムを発足。コンソーシアムには既に50社以上が参加し、「参加企業にはハードウエアやネットワークベンダーなど、これまでSAPと付き合いのなかった企業も多い」と小野田部長は説明する。

 福田社長は「SAP Leonardoの普及のためには、人材育成が欠かせない」と強調。SAPジャパンの全社員にデザイン思考の研修を実施しているほか、パートナー企業にも無償で研修を提供していると明らかにした。「SAPジャパン社員に限れば、デザイン思考を身に付け社外で十分なサービスを提供できる社員が既に二桁以上いる」(福田社長)という。