日本ケーブルテレビ連盟やケーブルテレビ各社などが参加する地域支援団体「ケーブルクラウドファンディングコンソーシアム」が発足し、2017年10月16日に設立総会が開催された。ケーブルクラウドファンディング(CF)とは、全国のケーブルテレビ事業者が自治体と共に地域をサポートする一環で、地域と密着したプロジェクトの運営資金をクラウドファンディングで調達できるようにするサービスのこと。コンソーシアムは資金調達の支援を通じ、地方創生への貢献を目指す。

写真●設立総会の様子 挨拶を述べる日本ケーブルテレビ連盟の吉崎正弘理事長
写真●設立総会の様子 挨拶を述べる日本ケーブルテレビ連盟の吉崎正弘理事長
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 ケーブルクラウドファンディング(ケーブルCF)は、大きく以下の形を想定する。ケーブルCFのサービス運営は日本デジタル配信(JDS)が担う。資金を調達したい個人や団体は、地域のケーブルテレビ局と協力して一次窓口となるJDSに企画を申請する。

 ケーブルCFコンソーシアムはJDSからの審査委託を受けて、審査基準に基づき各案件の審査(目利き)を行うことで、事業リスクを軽減する役割を担う。業界外部の有識者で構成する外部委員会で案件を審議し、コンソーシアムの理事会で案件を承認する。

図●ケーブルクラウドファンディングの全体像とコンソーシアムの役割
図●ケーブルクラウドファンディングの全体像とコンソーシアムの役割
(総会におけるプレゼン資料から)
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 承認を受けた案件は同コンソーシアムのロゴを使用できる。支援者はWebサイト経由で出資できるほか、ケーブルテレビの加入者であればVOD機能を通じて簡単なリモコン操作で出資できるようになる。

 審査に当たっては、地方創生というコンソーシアム設立の目的を踏まえ、自治体との連携を重視する。このため「地方公共団体自身が資本調達する案件」あるいは「地方公共団体が出資、融資または補助している案件」であることを求める内容を審査基準に盛り込んだ。目標額に達しない場合でも資金を調達できるKeep it ALL方式の購入型クラウドファンディングとしてスタートする。

 ケーブルCFによるクラウドファンディングは(1)地域のケーブルテレビが関わる募集案件であることから高い信頼性を確保できる、(2)ケーブルIDと連携して、VOD機能からID登録不要で簡単なリモコン操作で購入できる、(3)わかりやすい動画での地域・案件紹介が可能、(4)映像による案件プロモーションも可能といったことが特徴になりそうだ。

 この日の設立総会では、ケーブルCFのモデルケースとして業界が取り組んだ事例として、須高ケーブルテレビがスラックラインワールドカップジャパン実行委員会と実施した事例が報告された。この事例では、当初目標金額500円、予定期間4カ月としてスタート。2017年6月30日までの2カ月で569万2000円を集め、大会の運営資金の一部として活用された。

 須高ケーブルテレビは、当初から大会運営の実行委員会に参加。ケーブルCFだけではなく、大会のプロモーション活動や、大会当日の4K、2K、IP生中継なども実施した。人口1万1000人の小布施町に、2017年9月16日から18日の大会期間(公開練習日を含む)中に3万人の来場者が訪れ、町が大いににぎわった。「地域スポーツが地方創生のキーワードになる可能性」や「地方創生の取り組みと地域のケーブルテレビの関わり方」を示した事例になった。