NTT西日本、ミライト・テクノロジーズ、神戸市水道局は2017年10月10日、水道スマートメーターとLPWA(280MHz帯、米Sensus社のFlexNetを採用)を利用した工業用水における自動検針の実用化に向けて、技術・業務運用検証の共同フィールドトライアルを実施すると発表した。

 このトライアルでは、神戸市内の工業用水契約企業のうち今年度に取替予定の一部水道メーターをスマートメーターに更新し、検針から料金調定までの実運用を想定した実験を実施する。水道事業の業務フローを検証するとともに、運用面で発生する課題の明確化を図る。遠隔検針システムの導入および運用・保守に必要となる技術情報を体系的にまとめ、水道スマートメーターの本格導入を目指す。

図●トライアルの概要と3社の役割
図●トライアルの概要と3社の役割
(発表資料から)
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 NTT西日本ら3者は、2016年度に神戸市内の上水道をフィールドとした水道スマートメーターの技術検証を実施している。この技術検証については、無線でデータを収集するには障害物が多い環境(例えば土中、鉄蓋中、水没環境下など)においても、280MHz帯無線を使用することでメーター情報を良好に取得できることを確認し、回り込みや干渉に優れているという電波特性について技術的知見を得ることができたと報告する。

 一方、工業用水では効率的な安定供給が求められており、利用者からはリアルタイムに使用水量を把握したいというニーズがあるが、現在は目視による使用水量の検針が行われているという。そこで、今回のトライアルでは工業用水を対象にして、実験基地局を2基に増設し更なる技術検証および業務運用への適用評価へ検証フェーズを進めることにしたと説明する。トライアルは、2017年10月10日から2018年3月末まで実施する。その後、トライアルの成果をもとに、工業用水スマートメーターの事業化、本格導入を目指す。

 水道事業においては、設備の老朽化による更新費用の増大や職員の高齢化にともなう技術継承などの課題があり、スマートメーターやLPWAネットワークの活用が注目を集めているという。LPWA(280MHz帯)を採用し、工業用水の水道メーターとしてスマートメーターを設置・活用する国内初の事例として、今回のトライアルに取り組む。

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