パナソニックは2017年10月10日、車載技術の説明会を開いた。テレビやカメラといったAV機器関連の技術や画像処理技術、電源技術などを生かして車載事業を拡大する。AI(人工知能)などに強みを持つIT人材の育成や拡充を進め、運転支援システム、自動運転車といった応用範囲でも事業を広げる。

 「市場の成長スピードを上回る勢いで車載事業を拡大させる」とオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社オートモーティブ開発本部の水山正重本部長は話した。同社はパナソニックの社内カンパニー。車載事業の売上高を2016年度の1兆3000億円から2018年度には2兆円に引き上げる計画だ。

オートモーティブ開発本部の水山正重本部長
オートモーティブ開発本部の水山正重本部長
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 車載事業の拡大に向けて開発体制の整備を進めてきた。例えば、オートモーティブ開発本部は2017年4月に新設で、それまでのオートモーティブ開発センター、AV&ICT開発センターなどを統合した。水山本部長によれば「AV関連の技術者約350人を車載事業に移管した」。

 ただ自動運転や運転支援システムなどに必要だとされるAIの技術者は、水山本部長によれば「足りていない」。社内での人材育成や社外からの獲得、車載事業以外の部門との連携などで対応していく考え。

 説明会では小型の試験車両で自動運転システムのデモも披露。ステレオカメラや「LiDAR」と呼ばれるレーザースキャナーなどを搭載しており、リアルタイムに周囲の状況を検知しながらブレーキやハンドルの操作を判断する。

デモで披露された自動運転システムを搭載する車両
デモで披露された自動運転システムを搭載する車両
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 パナソニックは同日、車載機器を対象としたサイバー攻撃の侵入検知・防御システムを開発したと発表。車載のECU(電子制御ユニット)に搭載する「監視モジュール」と、連携する「監視クラウド」で構成される。外部からの攻撃を検知し、対処につなげられるという。2021年をめどに提供開始する。