政府は2017年10月6日、東京都内でテレワークの体験キャンペーン「テレワーク・デイ」の報告会を開いた。テレワーク・デイは2017年7月に実施した、ICTを使って自宅など社外で仕事をする「テレワーク」を全国一斉に試行するキャンペーンだ。2020年の東京オリンピックの開会式と同じ日付である7月24日に実施。2020年の会期中の交通混雑緩和も狙う。

2017年10月6日、東京都内で開かれた「テレワーク・デイ」の報告会
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 総務省の調査では、テレワークを導入している企業は1割にとどまる。テレワーク・デイを機にオフィスワーカーに広く試行してもらうことで、「PC作業に集中できる」といったメリットを実感してもらうことを、このキャンペーンでは狙った。

 テレワーク・デイでは、およそ6万3000人がテレワークに取り組んだ。「初めてテレワークを行う社員が増えたり、企業が提供する在宅勤務制度の利用者数が増えたりする成果が、参加企業では出てきている。テレワークを試すきっかけとして効果があったようだ」と、総務省情報流通行政局の担当者は説明した。

 テレワークによるPC作業の生産性についても、「社員に、通常の勤務に比べて、テレワークの生産性がどう変化したかを数値にして尋ねたところ、平均して16%増える結果を得た」という企業や、「出社せずに在宅勤務をすることで、通勤時間を生活時間に割り当てられたというメリットを実感する社員が7割だった」という調査結果を得た企業もあったという。

テレワークの生産性向上に関する報告スライド
テレワークの生産性向上に関する報告スライド
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 テレワーク・デイではこのほか、100人以上でテレワークを実施する83の企業や団体の協力を得て、当日の公共交通機関の利用状況の変化を調べた。その結果、テレワーク・デイに参加した企業が多く、参加人数が約4900人と最も多かった東京・豊洲では、東京メトロ豊洲駅の朝8時の利用者数が前年同日の同じ時間帯に比べて10%減少した。

 また、参加企業12社がオフィスフロアの消費電力量を調査したところ、テレワーク・デイの消費電力量は、実施前に比べて最大で18%減少、平均でも7%ほど削減する成果を得たという。

 テレワーク・デイは来年も実施する。来年は実施日数を増やし、参加団体数や参加人数の増加も図る。合わせてオフィスワークの生産性の向上にテレワークがどれだけ寄与するのかといった効果の測定項目をより一層充実させる。

 加えて、2017年11月には、産官学が連携して「テレワーク月間」を行う。2015年11月から毎年実施しているキャンペーンで、テレワークに関するイベントやセミナーなどを継続的に実施する。

 テレワーク・デイ報告会を共催した日本テレワーク協会の中山洋之専務理事は「テレワーク・デイでは多くの企業が参加してテレワークの効果を実感してもらえた。しかし来年の開催を待たずに、テレワーク月間に参加して、テレワークの活用を進めてほしい」と呼びかけていた。