アイ・ティ・アール(ITR)は2017年10月5日、国内企業のIT投資予算に関する調査結果を公表した。2017年度(2017年4月~2018年3月)のIT予算は過去10年で最高水準となり、2008年のリーマンショック以前の水準を回復した。

企業のIT予算の増減に関する調査結果
企業のIT予算の増減に関する調査結果
(出所:ITR)
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 国内企業を対象に「IT投資動向調査2018」と題する調査を2017年8~9月に実施し、2554件の有効回答を集計・分析した。2017年度のIT予算について「前年度より増額する」と回答した企業は34%で、前回調査の28%から6ポイント増加。「減額する」とした企業は7%で前回調査の9%から2ポイント減少し、2001年度の調査開始以来、最低を記録した。

 IT投資の増減を指数で表す「IT投資増減指数」は2.58と過去10年で最高になった。過去最高だった2006年度の3.88には及ばないものの、リーマンショック前年の2007年に記録した2.75に迫る水準となった。業種別では製造業が平均を大きく上回り、「IoT(インターネット・オブ・シングズ)の活用が広まって、ここ2~3年ほど控えめだった状況から一転して高水準になった」(同社)。

企業のIT投資の増減を指数化した「IT投資増減指数」の推移
企業のIT投資の増減を指数化した「IT投資増減指数」の推移
(出所:ITR)
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 一方で、情報セキュリティ対策などいわゆる「守りのIT」の予算も増加傾向にある。IT予算額に占めるリスク対策費用の割合として「情報セキュリティ対策費用」が16.5%、「災害対策費用」が10.4%、「IT内部統制向け費用」が12.1%と、いずれもここ4年ほど増え続けている。「IT予算をいかに成長に振り向けるかが今後の課題」(同社)としている。