LINEは2017年10月5日、インターネットに接続して使うAIスピーカー「Clova WAVE」の正式版を同日に発売すると発表した。LINEメッセージの読み書きや音楽の再生、赤外線リモコンによる家電の遠隔操作機能などを搭載しており、今後も順次機能拡充していくとする。価格は1万4000円(税込)。2018年1月末までは、「LINE MUSIC」の1年間の利用権付きで1万2800円(同)のキャンペーン価格で販売する。

 同社は2017年7月にClova WAVEの先行体験版(当時の製品名は「WAVE」)を発売。ユーザーからの意見を踏まえ、仕様変更や機能拡充を進めたうえで今回正式版として改めて発売した。こうした仕様変更で生まれた機能の一例が「家族アカウント」だ。

LINEが正式発売したAIスピーカー「Clova WAVE」
LINEが正式発売したAIスピーカー「Clova WAVE」
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 Clova WAVEを使ってリビングで任意の家族同士が自由にコミュニケーションを取れるよう、Clova WAVE専用のLINEアカウントとなる家族アカウントを新設。Clova WAVEによる新規メッセージの作成・送信や受信メッセージの読み上げには、初期設定でこの家族アカウントを使う。

 家族アカウントの機能を実装した理由について、同社の舛田淳取締役は「体験版のユーザーから『(Clova WAVEで)LINEを使いたいが、家族がいるリビングで個人アカウントの内容が読み上げられると良い気持ちがしない』との意見があり、プライバシーに配慮して安心して利用してもらえるよう配慮した」と説明している。

 併せて同社がClova WAVEの特徴として挙げるのが、赤外線リモコンの機能だ。発売当初は国内で市販されている主要メーカーのテレビを操作できる。今後は照明器具やエアコンなどにも順次対応する。「日本では家電製品へのWi-Fi接続がまだ広がっていない。日本市場向けとして赤外線リモコンの機能を実装した」(舛田取締役)。

 製品発表会ではこのほか、Clova WAVEとユーザーとの対話が一問一答形式だけでなく連続した対話に対応したこと、ラジオ放送のインターネット配信サービス「radiko.jp」に数週間後をめどに対応すること、ニュースや天気、その日の予定などをまとめて案内してくれる「ブリーフィング機能」を実装予定であること、などを公表した。LINE以外の企業もClova WAVEに対応したサービスを提供できるよう、「サードパーティ向けにSDKを開発中で、2018年初頭にも提供する」(舛田取締役)としている。

Clova WAVEを披露するLINEの舛田取締役
Clova WAVEを披露するLINEの舛田取締役
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 AIスピーカーの市場ニーズについて舛田取締役は「AIエージェントやAIアシスタントといったものは、スマホの普及台数を超えると考えている。最初は小さい規模かもしれないが、2~3年で当たり前の環境になりプラットフォームになると見ている。だからこそ今回チャレンジした」と語気を強める。

 LINEはこれまでスマートフォン向けアプリやその上で提供するネットサービスを中心に事業展開している。ハードウエアの製造・販売を手掛けるのは「今回が初めて」(LINE広報)であり、量産体制の確立や販売店への安定供給、不良在庫の回避などについて初めて取り組むことになる。供給体制については「Clova WAVEだけでなく(今後発売予定の)派生商品も含め、台数は別として、既に大量生産に入っている」(舛田取締役)とコメント。安定供給に自信を示す一方、具体的な台数については明言を避けた。