日本航空(JAL)とSBIホールディングスは2017年10月3日、FinTech事業を手がける共同出資会社を設立したと発表した。共同事業の第1弾として2018年度には国際ブランドのプリペイドカードを発行するほか、人工知能(AI)による資産配分の支援サービスなども検討している。JALはマイレージ会員などを対象にした金融サービスを拡大し、中期経営計画で掲げた新規事業による売り上げ増につなげたい考えだ。

SBIの北尾吉孝社長(左)とJALの植木義晴社長
SBIの北尾吉孝社長(左)とJALの植木義晴社長
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 共同出資の持ち株会社「JAL SBIフィンテック」を2017年9月1日付で設立済み。併せて、2社と住信SBIネット銀行が出資する共同事業会社「JALペイメント・ポート」も同年9月19日付で設立している。資本金は順に4500万円、4000万円で、JALペイメント・ポートは事業開始までに3億9000万円まで増資予定。出資比率は2社ともJAL側が51%、SBI側が49%とし、JALの連結子会社とする。

 JALペイメント・ポートが手掛けるプリペイドカード事業は、国内外のクレジット決済端末設置店で、日本円や現地通貨で決済が可能。渡航先のATMで現地通貨を引き出すこともできる。「海外でクレジットカードを使いたくないという顧客ニーズもあり、(JALグループで手掛けるクレジットカードの)JALカードとのすみ分けは可能だ」(JALの佐藤靖之執行役員)としている。

 JAL SBIフィンテックでは今後、JALのマイレージ会員向けにFinTechを活用した金融サービスを検討していく。具体的には、人工知能(AI)を使った資産配分のアドバイスといったサービスを、SBIグループが出資するベンチャー企業のお金のデザインと共同展開することを検討している。

 共同出資会社の設立会見に登壇したSBIホールディングスの北尾吉孝社長は「JALは3170万人、SBIは2200万人の顧客基盤を持つ。いずれの顧客も所得水準や金融サービスへの理解などは似通っており、シングル・サイン・オン(SSO)などで双方の顧客がお互いのサービスを利用できる環境が整えば、顧客基盤が拡大し成長に貢献すると考えている」と語り、さらなる提携拡大を目指す意向を示した。

■変更履歴
記事公開当初、本文第4段落で「SBIグループのお金のデザイン」と記載していましたが、「SBIグループが出資するベンチャー企業のお金のデザイン」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/10/04 14:35]