米Oracleは2017年10月1日(米国時間)、リレーショナルデータベース(RDB)製品の最新版「Oracle Database 18c」を発表した。同日から米サンフランシスコで開催している「Oracle OpenWorld 2017」の基調講演に登壇したLarry Ellison会長兼CTO(最高技術責任者)は「世界で初めての全自動DBだ」と強調した(写真1)。

写真1●米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高技術責任者)
写真1●米OracleのLarry Ellison会長兼CTO(最高技術責任者)
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 Oracle Database 18c(以下、Oracle DB 18)は、2017年12月にデータウエアハウス(DWH)版を、2018年6月にOLTP(オンライントランザクション処理)版を出荷する(写真2)。Oracle DBはこれまで一つの製品でOLTP用途とDWH用途の両方に対応してきたが、新バージョンから二つの製品ラインに分かれる。Oracleは同時にOracle DB 18cをベースにしたクラウドのDBサービスである「Oracle Autonomous Database Cloud」も発表している。

写真2●2017年12月に出荷するDWH版「Oracle Database 18c」の主な機能
写真2●2017年12月に出荷するDWH版「Oracle Database 18c」の主な機能
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 Ellison CTOがOracle DB 18cの最大の特徴として強調するのが、機械学習を全面的に採用して開発したDBの自動運用機能だ。Ellison CTOは「機械学習はインターネットに匹敵する技術的なブレイクスルーだ」と強調。Oracle DB 18cは、パフォーマンスチューニングの自動化機能や、不審なDBアクセスを遮断するセキュリティ機能などを搭載するが、これらはいずれも機械学習ベースで開発したとする。

 サーバーにソフトウエアを展開するプロビジョニングや、ソフトウエアの更新、サーバーの増設なども自動化し、DBを運用したままこれらの作業が完了するとしている。Ellison CTOは基調講演で「人間の手による作業が無くなるため、人間によるミス(ヒューマンエラー)も無くなる」と強調。「データベース管理者は自身のスキルを、従来のDBのチューニングなどから、データ分析やセキュリティ管理などに変更する必要があるだろう」(Ellison CTO)とまで断言した。

Amazonへの対抗心をあらわに

 OracleがDWH版Oracle DB 18cの最大のライバルとして位置付けるのは、米Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドDWHの「Amazon RedShift」だ。Ellison CTOは、Oracle DB 18cを使用したOracle Autonomous Database Cloudのコストについて「Amazonの半分になることを保証する」と語った(写真3)。

写真3●Oracle DB 18cベースのクラウドDBサービスのSLA
写真3●Oracle DB 18cベースのクラウドDBサービスのSLA
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 SLA(サービス・レベル・アグリーメント)の面でも、AWSへの対抗心をあらわにした。Oracle Autonomous Database Cloudの年間稼働率に関するSLAは「99.995パーセント」で、「1年当たりのダウンタイムは30分未満だ」(Ellison CTO)と述べると同時に「Amazonに比べて100倍良い」と主張した。

 価格体系に関しては、クラウドのサービスとして提供するOracle Autonomous Database Cloudに関してのみ発表した。Oracleは2017年9月20日に、Oracle DBのライセンスを既に保有する顧客がそのライセンスをOracleのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)に移行した場合に、PaaSの料金を大幅に割り引く「Pay as you go BYOL Database PaaS Pricing」という制度を発表している。

 このPay as you go BYOL Database PaaS Pricingで、「Oracle Database Enterprise Edition Exadata Infrastructure」を利用する場合、ストレージ1テラバイト(TB)当たり月額148ドル、「Oracle Cloud」におけるCPUの単位である「OCPU」1個当たり月額280ドルになる。