AIGジャパン・ホールディングスは2017年9月29日、企業のIoT(インターネット・オブ・シングズ)導入とサイバーリスクを独自調査した結果について、説明会を開いて公表した。説明会ではまず、同社のマーク・ロイランス マーケティング部インサイト&アナリティクスグループ長が独自調査の結果を公表した。

AIGジャパン・ホールディングスのマーク・ロイランス マーケティング部インサイト&アナリティクスグループ長
AIGジャパン・ホールディングスのマーク・ロイランス マーケティング部インサイト&アナリティクスグループ長
(撮影:下玉利 尚明、以下、同じ)
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 同調査は資本金5000万円以上で従業員100人以上の企業の役職者206人(取締役以上)に実施したもの。ロイランスグループ長は中堅規模の日本企業を対象にした調査であることに触れながら、IoT導入については「IoTの概念は浸透しつつも本格的な取り組みは限定的」であり、サイバーリスク対策については「75%の企業が自社のサイバーリスク対策に懸念や課題を持っている」と説明した。

サイバー攻撃により「直接被害を受けた経験があると回答した」企業の割合が8%だったことも紹介された
サイバー攻撃により「直接被害を受けた経験があると回答した」企業の割合が8%だったことも紹介された
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 同氏は企業のサイバーリスクに関する認識について、「いまだに個人情報の窃取を目的とした攻撃が多いと思われている」と指摘。ランサムウエアなどを使って金銭を窃取することが犯人の目的になっていると認識する企業の割合は「わずか7%だった」と話し、「より広い視野を持ってサイバーリスク対策に取り組むべきだ」とした。

サイバー保険はセキュリティ対策のバロメーター

 続いて登壇したAIU損害保険の阿部瑞穂企業賠償・経営保険部部長補佐は調査結果を基に、中堅企業が検討すべき対策や注目すべきリスクの実態に関する同社の見解を説明した。

AIU損害保険の阿部瑞穂企業賠償・経営保険部部長補佐
AIU損害保険の阿部瑞穂企業賠償・経営保険部部長補佐
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 阿部部長補佐は「海外展開している企業は国内のみで事業展開をしている企業と比べてIoTやサイバーリスクに関する意識が高い」とした。一方で「実際にサイバーリスクに対策しているかを尋ねところ、70%がしていない、分からないと回答した」と話した。この結果は2013年の調査と変わらず、「4年前から企業の対策が進展していない」(阿部部長補佐)。