金融庁は2017年9月29日、仮想通貨の取引所を運営する11社を、利用者間の売買を仲介する「交換事業者」として登録したと発表した。2017年4月に施行された改正資金決済法により、仮想通貨の交換業には2017年10月1日から登録制が導入される。政府監督の下で仮想通貨に一定の消費者保護の網をかぶせる体制が始まる。

 11社のうち9社は既に取引所を運営している事業者で、ビットフライヤーやGMOコイン、ビットバンク、テックビューロなどが登録を受けた。加えて、マネーパートナーズとSBIバーチャル・カレンシーズの2社が新規参入して登録を受けた。

 11社が審査を通過した一方で、交換事業者になる要件や審査の厳しさから、審査が長引いているほか、撤退を決めた業者もいる。改正資金決済法が施行された4月の段階で、審査前の「みなし交換事業者」として当座の事業継続を認められた取引所は40社あった。

 40社のうち9社は審査と通過し、12社は「要件を満たすのは厳しい」などの理由で廃業を決めたという。残る19社のうち17社は審査が続いており、2社は29日時点で登録申請を出していない。

 交換事業者の要件は資本金1000万円、純資産がマイナスでないことのほか、システム管理体制などに関する審査を通過する必要がある。審査で問われるのは次の4つ。「サイバーセキュリティやBCP(事業継続計画)などのシステムの堅牢性に関わる体制」「本人確認など資金洗浄対策の状況」「顧客の預かり資産と自社の仮想通貨の分別管理体制」「顧客への適切なリスク説明や詐欺的営業の排除など利用者保護の体制」――である。零細業者には審査負担が大きいといえる。

 新規参入の動きもある。金融庁には参入意向のある企業が数十社接触しているという。

 登録を受けた1社であるビットフライヤーは同日に会見を開いた。同社の加納裕三社長は「登録制度によって、顧客がより安心して仮想通貨を取引できる状況が整う。審査は特にシステム面で厳しかったが、我々の現状の体制で対応できた」と話した。

仮想通貨交換事業者の登録を受けた後に会見を開いたビットフライヤー
仮想通貨交換事業者の登録を受けた後に会見を開いたビットフライヤー
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