市場調査会社のBCNは2017年9月28日、米アップルが9月22日に発売した「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」について、大手家電量販店における発売から5日間の販売台数が2016年9月発売の「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」と比べ、3割減の水準にとどまったと発表した。同社は、11月に発売予定の上位機種「iPhone X」を加えた2017年発売モデル全体でも、発売直後の売れ行きは2016年発売モデルを割り込む可能性があるとの見通しを示している。販売台数シェアでは依然として競合他社を圧倒するものの、以前のような熱狂ぶりが薄れてきたことをうかがわせる。

大手家電量販店における、iPhone各機種の発売日から5日間の販売台数の比較。iPhone 3Gを1とした指数となっている
大手家電量販店における、iPhone各機種の発売日から5日間の販売台数の比較。iPhone 3Gを1とした指数となっている
(出所:BCN)
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 iPhone 3Gの発売日から5日間の販売台数を1とした指数でみると、iPhone 8の発売日から5日間の販売台数指数は2.14、iPhone 8 Plusは0.78で合計2.92。2016年9月発売のiPhone 7は4.02、iPhone 7 Plusは0.21で合計4.23だった。つまり、iPhone 8/8 Plusの2機種合計は、前年のiPhone 7/7 Plusの2機種合計に比べて31%減ということになる。

 2017年発売モデル全体で前年割れを防ぐには、iPhone Xが発売日から5日間で販売台数指数1.31以上の売れ行きを記録する必要がある。iPhone Xの発売直後の販売見通しについてBCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは「発売直後に買うのはコア層の中でも一部にとどまるだろう。ここ数年はiPhoneも新味がなくなっており、けん引力が弱まっている。iPhone Xは高価であるうえ、新機能なども他社のスマートフォンで実現している要素が多く、革新的とは言い難い」として、iPhone Xを加えても発売直後の売れ行きが前年越えを記録するのは難しいとの見方を示した。

スマートフォンのメーカー別販売台数シェアの推移。2013年以降はアップル1強だが、発売直後のシェアが7割前後から徐々に低下している
スマートフォンのメーカー別販売台数シェアの推移。2013年以降はアップル1強だが、発売直後のシェアが7割前後から徐々に低下している
(出所:BCN)
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 スマートフォンのメーカー別販売台数シェアでは、国内でスマートフォンが爆発的に普及した2011~12年にアップルのシェアが一時低下したものの、2013年以降はアップルの1強状態が続いている。ただ、2013~14年にはiPhone新機種の発売直後に7割前後まで伸びていたアップルのシェアが、2015~16年は6割台で漸減傾向にある。2017年も「シェア7割といった状況にはならないだろう」(道越チーフエグゼクティブアナリスト)としている。

 BCNは家電量販店23社、2608店舗のPOSデータを集計し、販売台数指数や平均単価を算出している。アップルストアや「ドコモショップ」など大手携帯3社の専売店の実売データを含まないが、「販売チャネルの構成比が量販店から専売店へ大きく変動するといった動きは特に起きていない」(道越チーフエグゼクティブアナリスト)ため、実売データの時系列での比較に影響はないとしている。

BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリスト
BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリスト
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