NECは2017年9月28日、テレビCMの制作を請け負う広告会社や制作会社向けに、「テレビCMオンラインサービス」の提供を10月2日に開始すると発表した。日本民間放送連盟が制定する「オンラインCM搬入暫定規準」に基づき、広告会社および制作会社と放送局の間でオンラインによるテレビCM素材の搬入を可能とする環境をクラウド型で提供する。

 テレビCMオンラインサービスでは、テレビCM素材を専用サイトからアップロードすることで、全国の放送局にオンラインで同時に搬入できる。会社間におけるテレビCM素材の確認依頼や承認作業などもオンラインで行うことが可能。

「テレビCMオンラインサービス」の運用イメージ
「テレビCMオンラインサービス」の運用イメージ
(出所:NEC)
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 放送局でのCM素材の映像品質基準に対応したNEC独自開発の「映像クォリティチェッカー」をはじめとした各種機能を搭載する。映像・音声・字幕におけるブロックノイズやブラックアウト、光点滅など、業界規格に適合していないCM素材の不備を自動的に抽出できるという。日本データセンター協会(JDCC)が策定する品質評価基準の「データセンターファシリティスタンダード」の最高レベルTier4の基準に準拠するデータセンターにテレビCMオンラインサービスの提供基盤を構築しており、安全性と信頼性の高いサービスを提供できるとしている。

 オンラインでCM素材を受領できない放送局に対しては、ファイル記録メディアにCM素材をプリントして配送・納品することが可能。ポストプロダクション大手のオムニバス・ジャパンなどとの提携で実現した。

 従来、国内のテレビ放送業界では、広告会社や制作会社が制作したテレビCM素材を物理媒体にプリントして放送局などに配送したり回収したりしていた。全国複数拠点の放送局などに物理媒体を配送・回収する場合、制作会社でのプリント業務や広告会社の配送業務、放送局の入稿業務などの作業にかかる時間とコストが大きな負担となっていた。

 これらの課題を解決するため、広告関係者と放送関係者は、テレビCM素材の迅速かつ効率的な共有・管理を可能とする仕組み作りを進めている。NECはこうした流れを受け、広告会社および制作会社と放送局間のオンラインによるテレビCMの素材搬入を可能とする環境をNECのデータセンターに構築し、テレビCMオンラインサービスを開始することにした。

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