NTTドコモは2017年9月26日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)に向け通信サービスの「LoRaWAN」を2017年10月20日から提供すると発表した。併せて、LTE回線で提供しているIoT向け通信サービスに新プランを追加し、既存プランを実質値下げとなるよう改定した。

NTTドコモが提供する、LoRaWANに準拠した各種センサー
NTTドコモが提供する、LoRaWANに準拠した各種センサー
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 LoRaWANはIoT向け通信サービスであるLPWA(ローパワー・ワイドエリア)の主要規格。NTTドコモは事前に申し込んだ法人が使う予定のエリアに専用のゲートウエイ装置を設置してエリアを整備し、LoRaWANの異常を24時間体制で監視・保守する。

 法人顧客の用途に応じた端末も提供し、要望があればドコモのクラウドサービスも併せて提供する。利用料は個別見積もり。ビルや商業施設内で機器の稼働状況を監視する用途の場合、ゲートウエイ装置3基、端末1300台という構成で端末1台当たり月額180円という。

 LTE回線については2017年10月2日から2つの新しいIoT向けの料金プランを加えた。「IoTプラン」は送受信とも128kbpsで2年契約の場合、1カ月のデータ通信量が30Mバイトまでは月額400円、56Mバイト以上は同1200円の2段階定額制とした。

 もう1つが速度制限のない上位プランの「IoTプランHS」。料金は2年契約でデータ通信量が月150Mバイトまでの場合は月額600円、225Mバイト以上の場合は同2900円だ。

 旧プランは月額基本料800円が必要で、1000回線以上を5年契約する場合は月額基本料を400円まで割り引いて提供していた。最安値は新旧で月額400円と変わらないが、最安値を使えるユーザーを増やしたことで実質値下げとした。

LPWA回線の提供と併せてデータの収集・分析プラットフォームなどを提供し、LPWA関連事業全体として収益確保を目指す
LPWA回線の提供と併せてデータの収集・分析プラットフォームなどを提供し、LPWA関連事業全体として収益確保を目指す
(出所:NTTドコモ)
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 「当社のIoT向けプランを使うユーザーの月間利用量は約4割が30Mバイト以内、8割が150Mバイト以内で収まる。新料金プランは実際の利用状況にうまく当てはまるようにした。FOMAを使っている顧客企業にLTEへの切り替えを促すとともに、新規顧客の開拓にもつながる」。NTTドコモの谷直樹執行役員はこう話し、ニーズの取り込み加速に期待を示した。

 このほか、IoT向けのLTE回線について、消費電力を低く抑える技術を新たに提供する。具体的には、LTEの低速通信規格「Cat.1」で、データの送受信間隔を長くして消費電力を抑える「eDRX」を2017年10月2日から提供する。また、SIMカードに通信時のみ電力を供給する「ドコモUIM(M2M)バージョン6」も2017年内に提供する予定。「2つを併用すると従来のIoT向けLTEより消費電力を9割減らし、数本の電池で10年間動き続けるLTE端末を実現できる」(谷執行役員)。

LoRaWANとLTEベースのLPWA(セルラーIoT)を、特性に応じ使い分けながら事業展開を図る
LoRaWANとLTEベースのLPWA(セルラーIoT)を、特性に応じ使い分けながら事業展開を図る
(出所:NTTドコモ)
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 同社はLPWAの需要がゲートウエイ数ベースで2017年から2020年にかけて10倍以上に拡大すると予測している。谷執行役員は「LoRaWANは人があまり住んでいない地方や、特定の場所に端末を集中して配置したい使い方などに向く。LTEベースのIoT回線は、全国のLTEのエリアで使えるほか、センターからの遠隔制御も可能だ。それぞれの長所を生かして事業展開していきたい」としている。