NECは2017年9月25日、世界初となるワイヤレスイヤホンを用いた「音響AR(拡張現実)技術」を開発したと発表した。現実世界の音に、イヤホンを通じた付加情報となる音を重ね合わせる。場所、首の傾き、姿勢を識別して、位置や顔の向きに関わらず固定された場所に音源があるかのようにイヤホンから流れる音を制御する。

出所:NEC
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 サラウンドシステムのように音の方向感や距離感を再現する「立体音響」に、ワイヤレスイヤホンに搭載されたセンサーを活用して音源を仮想的に固定する「音響定位」を組み合わせた技術となる。位置測位には地磁気センサーを、顔の向きや移動方向の測位にはジャイロセンサーと加速度センサーを利用する。

 スマートフォンやメガネ型デバイスを使ったARに対する優位性として「音響は視覚を遮らず、手ぶらで利用できる」(NEC広報)という点を挙げる。工場のような安全性を重視したい用途に向くほか、歩きスマホを避けられるのがメリットという。

 NECは2018年度の事業化を目指す。将来的には設計書を公開して、デバイスをハードウエアメーカーが開発できるようにする。NECは今回発表した音響ARや既に開発している耳穴形状による生体認証、地磁気による屋内位置測位などをクラウドサービスとして提供し、APIで稼ぐビジネスモデルを目指す。