XYZプリンティングジャパンは2017年9月21日、1600万色相当のフルカラー印刷が可能な3Dプリンター「ダヴィンチ Color」を発表した。同日に予約受付を始め、同年10月25日に販売を始める。価格は69万8000円(税別)。予約販売は55万円(同)。
ダヴィンチ Colorは、樹脂を熱で溶かして積層する熱溶融積層(FDM)方式の3Dプリンター。樹脂を吐出するエクストルーダーに加えて、インクジェット方式のカラー印刷用ノズルをヘッド部に追加した。
インクジェットプリンターでは一般的なC(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色のドットを打ち分けることで約1600万色相当の着色が可能。樹脂(フィラメント)の素材はPLAで、吸水性の高い専用PLAフィラメントの利用が前提になる。
カラー印刷時は、1層ずつ樹脂の出力と表面の着色を繰り返す仕組み。印刷速度は、0.1~0.4mmの層で樹脂を重ねていくFDM方式の出力時間に「2Dの紙に印刷するのと同じ時間が増える程度」(台湾XYZプリンティングのフランク・ホー ディレクター)。FDMの出力に数十分から数時間以上かかるため、総じて「通常の3D出力とほぼ同等」(同氏)という。
印刷精度を高めるために、3Dプリンターとしての基本機能を強化した。具体的には、印刷物の出力台(造形テーブル)を水平に保つ自動校正機能を追加。位置合わせのねじをモーターで回して自動で水平を出す。従来は校正値に応じて位置合わせのねじをユーザーが手で回す必要があった。
造形可能なサイズは幅185×奥行き185×高さ150mm。外形寸法は幅600×奥行き581×高さ640mmで、重さは32.3kg。ダヴィンチ Colorの価格は送料・設置費込みだが、沖縄等は個別見積もりとなる。
標準で300gのカラー専用フィラメントと各色20cc容量のインクカートリッジが付属する。消耗品の価格は、カラー専用フィラメントは600gで4280円、交換用インクカートリッジは40cc容量の各色独立式で、それぞれ9800円(いずれも税別)。
フルカラーの3Dプリンターは業務用の1000万円を超える製品が主流。ダヴィンチ Colorは100万円を切る価格で建築家や中小企業、教育機関、フィギュア愛好家といった個人や小規模組織での利用を見込む。販売目標は非公開だが、「個人向けのフルカラー3Dプリンターは世界初。既存の市場シェアを高めるより、新たな市場を開拓する製品」(XYZプリンティングジャパンのシェリー・リャン ディレクター)と位置付ける。