日本IBMは2017年9月21日、新しい分析システム「IBM Integrated Analytics System」を9月28日に発売すると発表した。データを格納すれば、すぐに機械学習を使った分析ができることが特徴だ。

日本IBMが発表会で紹介した新しい分析システム「IBM Integrated Analytics System」のスライド
日本IBMが発表会で紹介した新しい分析システム「IBM Integrated Analytics System」のスライド
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 同日の説明会には、米IBMのロブ・トーマスIBMハイブリッド・クラウド アナリティクス・プラットフォーム ゼネラル・マネージャーが登壇した。

 機械学習の導入は日本企業でも注目が高まってきた。自社に蓄積した情報をはじめ、様々なデータを機械学習にかけることで、ビジネスに役立つ知見を得て、事業機会の拡大につなげられる期待があるからだ。

 しかし、トーマスゼネラル・マネージャーによると、日本企業における機械学習の導入は他の先進国に比べて遅れているという。「それでも、今回の新製品を導入すれば、いかなる企業や組織でも機械学習やデータサイエンスを簡単にビジネスに取り入れられる」と紹介した。

新製品を紹介する米IBMのロブ・トーマスIBMハイブリッド・クラウド アナリティクス・プラットフォーム ゼネラル・マネージャー
新製品を紹介する米IBMのロブ・トーマスIBMハイブリッド・クラウド アナリティクス・プラットフォーム ゼネラル・マネージャー
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 機械学習を簡単に導入できる理由は、分散処理ソフトの「Apache Spark」、データウエアハウスソフトの「IBM Db2 Warehouse」、統合分析環境である「IBM Data Science Experience」といった機械学習で使うソフトを、Integrated Analytics Systemに組み込んでいるから。

 画像などの非構造化データはSpark、データベースで管理されているような構造化データはDb2 Warehouseにそれぞれ格納することで、データの違いを気にせずに機械学習を適用できる。

 データは、社内システムやプライベートクラウドだけでなく、パブリッククラウドとも連携して分析対象とすることが可能。パブリッククラウドは、提供ベンダーがIBM以外でも連携できるという。

 Data Science Experienceは、機械学習をはじめとする分析機能を備える。分析対象のデータセットをマウス操作で指定したり、作成したデータセットに対して適切な分析手法を自動的に提案したりと、初心者でも分析を進めやすくする機能を盛り込んだ。

 さらにData Science Experienceは、社内の複数ユーザーで分析方針を検討したり、結果を共有して議論したりできるコラボレーション機能を備える。「業務担当者や分析担当者などがディスカッションしながら、分析のPDCAを回すといった、ビジネスに役立つ分析成果を得るための支援機能を盛り込んである」と、日本IBMの村角忠政アナリティクス事業部Product&Solution統括部長は説明する。

 ハード面では、POWER8プロセッサーを搭載した24コアのサーバーを、ストレージにはフラッシュメモリー技術を活用した「IBM FlashSystem 900」を、それぞれ採用した。1ラック当たり最大7台のサーバーを搭載できる。「1T(テラ)バイトのデータを対象に分析処理を実施したところ、従来製品に比べて約5倍、高速に処理できた。ある顧客企業のテストでは最大で50倍、処理性能が高まった」(トーマスゼネラル・マネージャー)という。

IBM Integrated Analytics Systemのハード構成を説明するトーマスゼネラル・マネージャー
IBM Integrated Analytics Systemのハード構成を説明するトーマスゼネラル・マネージャー
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 製品のラインアップとしては、1ラック当たりのサーバー数が、3台、5台、7台の3種類をそろえた。最小構成であるサーバー3台の場合、搭載メモリーは1.5Tバイト、分析に使えるストレージ容量は64Tバイト(データを4倍に圧縮時)になる。2ラック以上で構成する製品は2018年以降、提供する予定だ。日本での価格は、個別見積もり。