パイオニアとオランダの地図事業大手であるHERE Technologies(HERE)は2017年9月19日、業務提携および資本提携に合意したと発表した。両社が持つカーナビ向けの地図や位置情報技術、ドライバーの運転特性や天候などの情報を組み合わせ、自動車事故のリスクを予測する技術やサービスを開発する。ITを使って保険料を柔軟に算出するテレマティクス保険を手掛ける保険会社の需要を見込む。

 発表会でHEREのエザード・オーバービークCEO(最高経営責任者)は「将来の自動運転の普及も見据えて、オープンな地図データのプラットフォームを構築していく」と語った。

パイオニアの小谷進社長(左)とHERE Technologiesのエザード・オーバービークCEO(右)
パイオニアの小谷進社長(左)とHERE Technologiesのエザード・オーバービークCEO(右)
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 両社は2015年にデジタル地図事業に関して提携し、2017年中に世界で利用できるデジタル地図データを提供すると発表している。2016年にはパイオニアの持つ「3D-LiDAR」センサーを活用し、自動運転向け地図データの更新手法を検討する実証実験を行った。欧米や日本など地域によって異なる地図データの仕様を統一するための検討も開始している。「今回の資本提携は、今までの提携をさらに強化するものだ」(エザード・オーバービークCEO)。

 パイオニアは地図事業のインクリメント・ピーを子会社に持つ。カーナビに搭載される地図の国内シェアはおよそ3割だ。HEREの地図は欧米で販売されるカーナビの8割に搭載される一方、日本での存在感は薄かった。業務提携にあたってパイオニアとHEREは相互に同額の株式を取得する。取得額は約1730万ユーロ(約23億円)。2017年10月5日までに取得する見込みだ。