米アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2017年9月18日(米国時間)、仮想マシンサービス「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」において、Linuxインスタンスの課金を1秒単位にすると発表した。東京リージョン(広域データセンター群)を含む利用可能な全リージョンで2017年10月2日から適用される。

EC2を含むコンピュート関連の一部サービス
EC2を含むコンピュート関連の一部サービス
(出所:AWS)
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 現時点でEC2の課金は1時間単位だ。10月2日以降はLinuxインスタンスの課金が1秒単位に変わる。ただし、最小課金時間は60秒。一般的な「オンデマンド」、1年あるいは3年にわたる長期利用を前提に割引する「リザーブドインスタンス」、ユーザーの入札額によってインスタンス利用料が決まる「スポットインスタンス」のいずれも対象となる。「今後登場するLinuxインスタンスについても同様」(アマゾン ウェブ サービス ジャパンの瀧澤与一技術本部エンタープライズソリューション部長)だ。

 瀧澤部長によると「EC2の課金が始まるのは基本的に仮想マシンのOSが起動してから」という。外付けストレージの「Amazon EBS(Elastic Block Store)」、並列分散処理サービスである「Amazon EMR(Elastic MapReduce)」、バッチ処理の専用サービス「AWS Batch」も、同じく1秒単位の課金となる。

 1秒単位の料金は「1時間単位の価格の3600分の1」(瀧澤部長)になる。2017年9月19日時点のEC2のLinuxインスタンス(東京リージョン)は、汎用的なT2の最上位である「t2.2xlarge」の1時間の利用料は0.512ドル(税別)。1秒だと0.000142222ドルになる計算だ。

 パブリッククラウドで競合する米マイクロソフトのクラウドサービスであるMicrosoft Azureや、米グーグルのGoogle Cloud Platform(GCP)では、仮想マシンの課金は1分単位になっている。GCPの場合、最小課金時間は10分だ。EC2の1時間単位の課金では無駄が生じやすいため、不満を漏らすユーザーがいた。AWSはユーザーの声を受け、AzureやGCPよりも細かい1秒単位の課金に踏み切った。

 滝澤部長はユーザーの利点をこう語る。「証券売買システムのように処理時間が短いシステムだとコストを最適化しやすい」。バッチ処理でも1秒単位の課金を望むユーザーの声は多く、「AWS Batchも1秒単位の課金になることで、無駄なコストを抑えられる」とする。