消防庁は2017年9月15日、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本上空を通過したことに伴って、国民に情報を伝える「全国瞬時警報システム(Jアラート)」の発動状況を公表した。

 今回のミサイル飛来では、2017年8月29日に起きた前回のミサイル飛来と同じく、北海道や東北、北陸、北関東の12道県617市町村にJアラートで飛来情報を伝達。15日時点で市町村から情報伝達できなかったという報告はないとした。ただ、2~3の自治体で警報が流れなかったもようで、後日の集計で15日の発表内容を変更する可能性がある。携帯電話網を通じて送信された緊急速報メールについては、対象道県の全市町村で受信できたとしている。

 前回、一部地域で携帯電話網による緊急速報メールが配信されなかったNTTドコモは「前回不具合があった北海道浦幌町で今回は受信できたと確認した。またシステム上でも未配信の地域はなかったと確認した」(広報部)。

 前回のミサイル発射では消防庁は当日に16市町村で警報が住民に届かなかったと発表。後日の集計では、報告遅れなども含めて不具合は24市町村まで増えた。またNTTドコモのネットワークでは緊急速報メールが北海道の一部で伝達できていなかった。原因は地域の全加入者への同報配信機能「エリアメール」を実装した一部無線設備におけるソフトウエアのバグである。

 前回に24市町村で発生した不具合の原因は多岐に渡る。Jアラート関連機器の設定の誤りだったり、メール配信サーバーや防災無線の起動装置といったJアラート連携システムの設定誤りだったり、Jアラート関連機器の電源欠落だったりした。その後、それぞれの市町村が個別に対策を取り、24市町村の多くは今回のミサイル飛来に間に合った格好だ。

 例えば、前回の不具合で目立った原因の1つが、中央官庁や市町村をつなぐLGWAN(総合行政ネットワーク)のセキュリティが強化されたにも関わらず、メール配信サーバーなどの設定を正しく変更していなかったこと。北海道の紋別市や奥尻町、置戸町などが該当する。

 奥尻町は防災無線が旧式のため、Jアラートの警報をまずはメール配信で町役場職員の携帯電話などに伝え、職員が防災無線を手動で起動させる体制を取っていた。前回は職員の端末にメールが届かなかったため、防災無線を起動できなかったという。

 原因を特定した奥尻町は「2017年9月13日に庁内のメール配信サーバーをインターネットと通信できるようファイアウォールなどの設定を変更した」(総務課情報サービス係)。今回のミサイル飛来では職員らに正常にメールが届き、防災無線を起動できた。

 一部地域でエリアメールに不具合があったNTTドコモも9月13日までにソフトウエアのアップデートを実施し、対策を終えていた。