アドビ システムズは2017年9月13日、同社サービスを活用した企業のデジタル変革を推進するコンサルティング・人材育成サービスを開始した。同社のコンテンツ制作やデジタル広告、マーケティング管理といったクラウドサービス群の導入支援で蓄積したノウハウを一般提供する。
来日した米アドビ システムズのシャンタヌ・ナラヤン社長兼CEO(最高経営責任者)は、「企業は顧客の体験(エクスペリエンス)をより良いものにするためにデジタル変革すべき。その時は今」とし、提供を始めたデジタル変革支援サービスの意義を語った。
コンサルティングサービスの提供に当たって「デジタル ストラテジー グループ」を組織した。国内外の7000件以上の導入事例に基づき、コンテンツ制作や文書のデジタル化、定量的なマーケティング施策の改善など、同社のサービス群を活用した企業のデジタル変革を支援する。「様々な業種に対応できるエリート人材を集めた。ベストプラクティスを共有するのが目的」(ナラヤンCEO)という。「日本では10人程度」(アドビ システムズの佐分利ユージン社長)の規模で事業を始める。
人材育成サービスは「アドビ デジタル マスターズ ワークショップ」として、企業ごとにカスタマイズした人材育成プログラムを提供する。対象ユーザーの知識や能力に応じて、Web制作やデータ分析の基礎を習得する「ジェネラルトレーニング」や、パーソナライズ化したコンテンツ制作やデータ分析といった専門知識を扱う「プロフェッショナルトレーニング」などを提供する。既にコンテンツ制作を内製化した丸井グループ向けに講座をカスタマイズ提供しており、「その知見を幅広い企業に提供する」(ナラヤンCEO)。
アドビはナラヤンCEOの下、ソフトウエアのパッケージ販売事業者から、「クリエイティブ」「ドキュメント」「エクスペリエンス」の3領域にわたるクラウドサービス提供者に姿を変えている。
クリエイティブは、「Photoshop」や「Illustrator」などのコンテンツ制作ツールやデジタル素材で構成する制作環境。ドキュメントは「Acrobat」シリーズによるPDFを軸にした共同作業やワークフローの構築が可能だ。エクスペリエンスは、デジタル広告やWebのデータ分析、Webやモバイルなどの横断的なマーケティングを支援するクラウドサービス群である。
これらクラウドサービスの「神髄」とナラヤンCEOが評するのが、機械学習と人工知能(AI)のフレームワーク「SENSEI」。「数百兆のデータを扱い、すべての領域で専門性がある」(ナラヤンCEO)ことが強みだという見解を示した。