ソフトバンクは2017年9月13日、5Gの要素技術「Massive MIMO(Multi-Input Multi-Output)」を強化した「Massive MIMO 2.0」を9月22日に導入すると発表した。

 ソフトバンクのテクノロジーユニット モバイル技術統括 モバイルネットワーク本部 野田真本部長は、「Massive MIMOは一般的には5Gの要素技術ではあるが、ソフトバンクは4Gに投入する」と話す。Massive MIMOは、電波の指向性を高めてビームを形成しユーザーごとに放射することで、人が密集する場所でも速度低下を防ぐ技術だ。

ソフトバンクのテクノロジーユニット モバイル技術統括 モバイルネットワーク本部 野田真本部長
ソフトバンクのテクノロジーユニット モバイル技術統括 モバイルネットワーク本部 野田真本部長
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 「Massive MIMO 2.0」は、一度に利用できる2.5GHz帯の帯域幅を、現在の20MHzから1.5倍の30MHzに拡大した。「世界で初めて3.5GHz帯にも対応」(野田本部長)したという。

今回新たに導入した技術のうちの一つである「Massive MIMO 2.0」
今回新たに導入した技術のうちの一つである「Massive MIMO 2.0」
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 「Massive MIMO 2.0」のほか、「Distributed MIMO」「MultiUser MIMO」「UL MultiUser MIMO」も導入する。

 「Distributed MIMO」は、クラウドを使って複数の基地局を仮想的に1つの基地局として運用し、電波の使用効率を高める技術だ。

 「MultiUser MIMO」は、今ある基地局のアンテナ構成を変えることなく、最大4つのレイヤーを構築することができる。下り通信時に速度の低下を防ぐ。「UL MultiUser MIMO」はMultiUser MIMOを上り回線に適用する技術だ。

 質疑応答で「ソフトバンクは人が密集する場所でのトラフィックを防ぐ技術に力を入れているのか」という質問に対し、野田本部長は「そうだ。毎秒500メガビットなど最高スピードを追い求めるのではなく、低速になってしまうユーザーの割合を極力減らすことを目指す」と答えた。

 毎秒30メガビットほどのスピードが出ていればユーザーはスマホでストレスなく動画を見ることができるが、毎秒3メガビットを切るとストレスを感じるため、人の混雑時でも通信速度が低下する頻度を減らすことが重要だとした。