「エネルギー、AI(人工知能)、セキュリティーの分野に積極的に投資する」。独シーメンスで取締役を務めるローランド・ブッシュCTO(最高技術責任者)は2017年9月12日、デジタル事業戦略説明会で事業強化の方向性についてこう語った。

写真●独シーメンスで取締役を務めるローランド・ブッシュCTO
写真●独シーメンスで取締役を務めるローランド・ブッシュCTO

 シーメンスは、競合で「インダストリアル・インターネット」戦略を推進している米ゼネラル・エレクトリック(GE)と同様、デジタルシフトを加速。具体的には、産業機器などをネット接続し、様々なソフトウエアを使ってデータを収集・分析することで運用効率を向上させるサービスの強化を急いでいる。シーメンスのソフトウエア関連の売上高は4300億円、デジタルサービス売上高は1300億円。同社は、「世界でトップ10に入るソフトウエアカンパニーだ」(ブッシュCTO)という。

 デジタルサービスの要となるのが、IoTプラットフォーム「MindSphere」だ。MindSphereや各種アプリケーションを提供することで、電力会社や製造業などの顧客企業が「(設備や生産拠点の)稼働率の向上」という成果を得ているという。「多数の顧客企業から収集している様々なデータを活用して、インテリジェンスを蓄積し、それを顧客に提供している。優れたソフトウエアエンジニアと業務に詳しい人材を数多く抱えていることが、シーメンスの強みだ」(ブッシュCTO)。

 シーメンス日本法人もデジタルビジネス強化を急ピッチで進める。国内では2020年の売上高の6割以上をデジタル関連事業にする計画という。「今後の課題はパートナーとの関係強化だ」。シーメンスの藤田研一社長兼CEO(最高経営責任者)はこう話す。コンサルティングやアプリケーション開発、システムインテグレーション、MindConnect開発など複数分野で、IT企業との提携・連携を急ぐ。