楽天と神石高原町(広島県)は2017年9月11日、楽天の農業支援サービス「Ragri(ラグリ)」を活用する協定を結んだ。神石高原町の耕作放棄地を使った新規就農支援サービスなどで協力する。神石高原町の耕作放棄地は東京ドーム約100個分に相当する430ヘクタールに及ぶという。

 楽天と同社の子会社で農業支援サービスを手掛けるテレファームは、神石高原町との協定により新規就農を支援する「Ragriリクルート」を本格的に始める。Ragriリクルートは耕作放棄地などをテレファームが借り上げ、新規就農者に事務所や農耕機などと一緒に貸し出すサービスだ。農業の技術や経営などの指導もする。

 同サービスで新規就農者はサービス料(月額3万7000円の予定)を支払う。神石高原町は協定によりサービス料を全額補助する。楽天の農業事業部長とテレファームの代表取締役を務める遠藤忍氏は「身一つで就農できる」と協定を説明した。

楽天の農業事業部長とテレファームの代表取締役を務める遠藤忍氏
楽天の農業事業部長とテレファームの代表取締役を務める遠藤忍氏
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 Ragriリクルートで農業の基礎を学んだ新規就農者は承継者が居ない農家とマッチングする「Ragriブリッジ」が利用できる。Ragriブリッジも神石高原町で運営する。

 楽天とテレファームは会員制の農作物流通サービス「Ragri CSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)」を運営しており、RagriリクルートやRagriブリッジの販路として使う。Ragri CSAは前払い制のため収穫を待たずに収入が得られ、新規の就農がしやすくなるという。

 神石高原町の入江嘉則町長は「耕作放棄地を資源として使えると考え協定を結んだ。楽天とは農業支援に限らず包括的な協力関係を考えている」と話した。

神石高原町の入江嘉則町長
神石高原町の入江嘉則町長
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 楽天の安藤公二常務はRagriリクルートやRagriブリッジについて、「Ragri CSAだけでなく楽天市場や楽天トラベルなどを活かした販路の拡大を考えている」と話した。事業目標はRagri CSAに登録する就農者を「5年後(2022年)までに数万人に増やしたい」(同)とした。

楽天の安藤公二常務
楽天の安藤公二常務
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