情報通信研究機構(NICT)は2017年9月8日、記者会見を開いて9月6日に確認した太陽フレアが国内に及ぼす影響を説明した。9月8日午後5時時点で国内の通信やGPS(全地球測位システム)に悪影響が発生した事実を「確認していない」とした。ただ、約1週間は影響が発生する可能性があるとして注意を呼び掛けた。

 太陽フレアとは太陽表面で発生する爆発現象を指す。太陽フレアが発生すると、コロナガスと呼ばれる太陽の上層空気のガスが宇宙空間に放出される。

 コロナガスが地球に到達すると、通信衛星や放送衛星といった人工衛星で障害が発生したり、GPSを使った測位の誤差が増えたりする可能性がある。地球周辺の宇宙環境や、上空の電離ガス(プラズマ)が濃い電離圏と呼ばれる領域の環境が乱れるからだという。

 NICTの石井守電磁波研究所宇宙環境研究室室長は「コロナガスは当初の予想よりも8時間早く地球に到達した」と説明した。

NICTの石井守電磁波研究所宇宙環境研究室室長
NICTの石井守電磁波研究所宇宙環境研究室室長
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 NICTは9月6日午後8時53分、通常の1000倍の規模の大型のフレアを太陽表面に観測。9月8日午後3時から午後12時ごろにかけて地球に到来すると予想していたが、9月8日午前7時にコロナガスの地球到達を観測したという。

 NICTによれば、今回のフレアの規模は1975年以降27番目の大きさ。「今後数日間は影響が発生する可能性がある」(石井室長)ため注意が必要だという。