Bluetoothの普及促進を図る業界団体のBluetooth SIGは2017年9月8日、「Bluetooth mesh」に関するメディア向け説明会を開催した。Bluetooth meshはBluetoothデバイスで多対多の通信を可能にする技術で、Bluetooth LE 4.0以上で動作する。多数のデバイスの相互通信が必要なIoT(インターネット・オブ・シングズ)に向く。Bluetooth SIGは2017年7月18日に仕様を発表済み。

 説明会に登壇したBluetooth SIGでマーケティング バイス・プレジデントを務めるケン・コルドラップ氏はBluetooth meshの特徴として、メッシュ型構成を採ることによる信頼性や、数千ノードを1つのネットワークに収容可能な拡張性、既知の全ての攻撃から防御可能なセキュリティなどを挙げた。

Bluetooth SIGでマーケティング バイス・プレジデントを務めるケン・コルドラップ氏
Bluetooth SIGでマーケティング バイス・プレジデントを務めるケン・コルドラップ氏
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 コルドラップ氏はBluetooth meshは仕様策定中に複数ベンダーによる相互運用性のテストを実施済みで、既に同仕様をテストしたり認証したりするためのツールの提供が始まっていると説明。Bluetooth meshが導入されそうな分野として、ビルオートメーション、工場などの無線センサーネットワーク、資産追跡の3つを挙げた。

 次いで説明に立った、位置情報サービスなどを手掛けるWHEREの丸田一代表取締役はメッシュ型ネットワーク機能を持つビーコンを用いた「EXBeaconプラットフォーム」の導入事例を解説。同製品は現在、Bluetooth meshの元となった米クアルコムの技術である「CSRmesh」を使うビーコン機器を使っており、今後Bluetooth meshに対応予定とした。「モノや人の所在管理」「センサーネットワーク」「ビルオートメーション」などの事例があるという。

WHEREの丸田一代表取締役
WHEREの丸田一代表取締役
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 説明会の最後には、Bluetooth SIGのボードメンバーである東芝デバイス&ストレージの足立克己ミックスドシグナルIC応用技術部ワイヤレスIC応用技術担当 参事がBluetoothの技術トレンドの変遷を解説した。「IoTのセンサーのコントロールのフォーマットをBluetoothから統一していきたい。おそらく物理レイヤーに依存しない、アプリケーションレイヤー(において)の話になる」と話し、今後こうした考えに賛同する企業を募っていきたいとした。

東芝デバイス&ストレージの足立克己ミックスドシグナルIC応用技術部ワイヤレスIC応用技術担当参事
東芝デバイス&ストレージの足立克己ミックスドシグナルIC応用技術部ワイヤレスIC応用技術担当参事
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