東急建設は2017年9月7日、中央大学理工学部の山田正教授と共同で、気象庁が提供している数値予報データを活用した「都市河川監視システム」を開発したと発表した。工事関係者らが局地的な集中豪雨による都市型水害に迅速な対応ができるという。

図●都市河川監視システムの概念図
図●都市河川監視システムの概念図
(出所:東急建設)
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 同システムは気象庁が気象業務支援センターを通じて提供している高解像度降水ナウキャストから得られる降雨予測情報を基に、クラウド上で洪水の解析を行って5分ごとに1時間後までの河川水位を予測する。

 東急建設は2017年度から東京都渋谷区から流れる渋谷川を挟んだ渋谷再開発の建設現場で実証試験に着手。Web画面で河川水位の変化を表示して、パソコンやタブレットを使って遠隔地の関係者と情報を共有できる。対象流域を250mメッシュで細かく分割した予測が可能で、局地的集中豪雨が起きた際に迅速な対応が可能という。

 予測した河川水位が管理値を超過した場合は、工事関係者にアラートメールを一斉に発信するほか、工事現場に設置した回転表示灯で水位が超過することを知らせて迅速な緊急時体制ができるようにしたという。

 従来は国土交通省が運用する高性能気象レーダーを用いたXRAIN(エックスレイン)の観測データを利用する仕組みが使われていたが、気象庁の高解像度降水ナウキャストのデータを活用する手法はシステムの簡素化が可能という。高解像度降水ナウキャストデータの利用にはオンライン配信の負担金が必要となる。