NTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL)は2017年9月6日、欧州SAP製ERP(統合基幹業務システム)に関する案件で新たにデータ移行ツール「Transformation Backbone(T-Bone)」を使うと発表した。T-Boneを開発した独シュナイダー・ノイライター・アンド・パートナー(SNP)と提携し、ERP「SAP ERP」から「SAP S/4HANA」へ移行する案件の拡大を狙う。

 T-Boneは業務システムのバージョンアップや切り替えなどの変更に特化したデータ移行ツールだ。移行前後のシステムをツールが解析し、自動で変換しながらデータを移行する。特にSAP製アプリに関するデータ移行を得意としているという。

 T-Boneを使わない場合、システム切り替え時などにはETL(抽出、加工、転送)ツールを使い、切り替えるシステムに必要なデータの加工を人間が設定する。T-BoneはいわばETLツールの操作を自動化したものだ。加えてデータ移行後のテストも自動化している。

 NTTデータGSLはデータ移行とテストが自動化できれば、SAP ERPからS/4HANAへの移行が安価で短期間に実施できるとする。提携する以前はT-Boneを使うためにSNPに作業を依頼するなどしていた。提携後はSNPから技術認定を受けたNTTデータGSLのエンジニアがT-Boneを使う。

 NTTデータGSLの小川兼一郎常務は「SNPは実績があり、T-Boneは信頼できるツールだと理解してもらえれば案件を拡大できる」と話す。NTTデータGSLはT-Boneの技術者を増やし、S/4HANAへの移行案件を2020年には年間20件まで増やす目標だ。SNPは日本市場でのパートナーはNTTデータグループにフォーカスするとした。

NTTデータグローバルソリューションズの小川兼一郎常務
NTTデータグローバルソリューションズの小川兼一郎常務
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 SNPのアンドレアス・シュナイダー・ノイライターCEO(最高経営責任者)は「昔なら200人で5年かけていた基幹システムの移行を、T-Boneを使えば5人で5カ月で済む」とツールの効果をアピールした。米ヒューレット・パッカードが2015年に分社した時にもT-Boneは使われ、分社による基幹システムの更改を半年で完了したという。

独シュナイダー・ノイライター・アンド・パートナーのアンドレアス・シュナイダー・ノイライターCEO(最高経営責任者)
独シュナイダー・ノイライター・アンド・パートナーのアンドレアス・シュナイダー・ノイライターCEO(最高経営責任者)
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