日本郵便と起業支援のサムライインキュベート(東京・品川)は2017年9月4日、オープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を始めると発表し、同日から募集を始めた。日本郵便の経営資源を生かした新規事業のアイデアをベンチャー企業から募り、郵便・物流事業の活性化を目指す。

「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を発表した日本郵便の福田聖輝副社長(左)とサムライインキュベートの榊原健太郎代表取締役
「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を発表した日本郵便の福田聖輝副社長(左)とサムライインキュベートの榊原健太郎代表取締役
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 9月20日・28日に東京都内で説明会を実施する。10月4日に応募を締め切り、10月下旬に3社程度の採択企業を選定する。その後、日本郵便の経営陣や物流部門、IT部門の幹部が「メンター」となり、事業計画を詰める。2018年1月に成果発表会を実施。有望な事業には、サムライインキュベートが450万円を出資し、日本郵便も出資を検討する。

 日本郵便の福田聖輝副社長は「自動分別機を早期に導入するなど、郵便局舎内の効率化はかなり進んでいる。だが、局舎外の配送にはまだまだ効率化の余地がある。全国2万4000の郵便局や18万本の郵便ポストなどの物流リソースも持っている。外部の視点で活用の提案をしてもらえればありがたい」と述べた。採択企業はこれらの物流リソースを活用して実証実験などを実施できる。

日本郵便が実用化に向けた検討を進める配送用ドローン
日本郵便が実用化に向けた検討を進める配送用ドローン
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 日本郵便が開発してきたドローンの活用も焦点の1つだ。福田副社長は「これまでドローンを配送に生かす技術開発や実証実験は当社が単独でやってきた。山間部などの家庭への配送や局間輸送などで実用化を目指しているが、送電線などの障害物や風雨対策、法規制などの課題も多い。オープンイノベーションで実用化への取り組みを加速させたい」と述べた。

 日本郵便は神奈川県平塚市や福島県南相馬市など国内4カ所で実証実験地を確保している。採択企業は、日本郵便の技術や実証実験地を活用しながら、ドローン配送の実用化に向けた検証を実施できる。

 サムライインキュベートの榊原健太郎代表取締役は「同種のオープンイノベーションプログラムを実施する大企業は少なくないが、『流行に乗る』だけの取り組みもある。今回は、日本郵便の社長を含む経営陣が関与し、本気で事業化・実用化を目指すプログラム。サムライインキュベートも出資を予定しており、出資すれば10年スパンで事業化を支援するつもりだ」と説明した。