アサヒグループホールディングスは2017年9月1日、将来のリーダー候補である管理職に人工知能(AI)で的確な育成計画やキャリアパスを提案できる人事管理システムを開発していると発表した。人手による人事管理業務をAIで効率化するだけでなく、育成対象の個人に合った育成計画やキャリアパスを提案しやすくする。

AIによるキャリアパス提案のイメージ図
AIによるキャリアパス提案のイメージ図
(出所:アサヒグループホールディングス)
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 開発中の人事管理システムは、これまでグループ企業間や部門間でバラバラだった評価指標を統一。管理職人材の能力を可視化したり、過去の人事データからAIを活用して有効なキャリアパスを複数提案したりできるようにする。

将来のリーダー候補の管理職を育成する仕組み
将来のリーダー候補の管理職を育成する仕組み
(出所:アサヒグループホールディングス)
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 新人事管理システムの開発に当たって同社は、海外を含むグループの幹部約300人の人事情報をAIに学習させた。柴田勝人事部門プロジェクトシニアマネジャーは今後、AIに学習させる人事情報を増やすほか、人材評価の方法論である「ナインボックス」を併用して人材育成の効果を高める方針を示した。

アサヒグループホールディングスの柴田勝人事部門プロジェクトシニアマネジャー
アサヒグループホールディングスの柴田勝人事部門プロジェクトシニアマネジャー
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 アサヒグループホールディングスのグループ企業は全世界で約120社、連結従業員数は2万3000人。グローバルでの人材管理に向けて、小規模なシステムを試作して効果を検証する方針を定めていた。新人事管理システムの開発には米コーナーストーンオンデマンドの人材管理クラウドサービスを採用した。

人事管理システムの実用化に向けた今後の検討事項
人事管理システムの実用化に向けた今後の検討事項
(出所:アサヒグループホールディングス)
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 採用したコーナーストーンオンデマンドのサービスは、「インサイト」と「サクセッション」。インサイトは過去の役職就任歴や在任期間といったデータをAIで学習して、有用と思われるキャリアパスを複数提案する機能。サクセッションは社員の能力を共通指標で評価して可視化する。