NTTデータは2017年8月31日、衛星画像を活用した高精細の3次元(3D)地図データの提供サービス「AW3D 全世界デジタル3D地図」に、新メニュー「高精細3D都市データ」を追加し、9月1日に販売を開始すると発表した。特徴は、人工知能(AI)を応用して作成した新しいタイプの地図データを提供すること。人工衛星画像を手掛ける米デジタルグローブと共同開発した。

 高精細3D都市データは、2種類の3D地図データで構成する。一つは土地形状や起伏を最高0.5mの解像度で表現した3D地形データ。もう一つは、個々の建物や樹木などの形状を3Dポリゴンで表現したデータである。

 AIが特に威力を発揮したのは、後者の3Dポリゴンのデータだ。NTTデータの筒井健第一公共事業本部e-コミュニティ事業部第三ビジネス統括部第三開発担当課長は、「AIの画像解析技術を活用し、衛星で撮影した画像から建物などの形状を一つひとつ自動的に抽出できるようになった」と説明する(写真)。抽出作業の効率が従来よりも飛躍的に高まったという。

写真●「高精細3D都市データ」の特徴を説明するNTTデータの筒井健氏
写真●「高精細3D都市データ」の特徴を説明するNTTデータの筒井健氏
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 ユーザーは3Dポリゴンのデータを利用すると、地図データ中の特定の建物などに対する分析が容易になるという。「通信分野を例に取ると、ある建物に対する電波干渉の影響を調べるといった精密なシミュレーションが可能になる」(NTTデータの筒井氏)。ほかにも都市計画や、ドローンの飛行ルートの設計などに向くとしている。

 開始当初に提供する地図データの対象エリアは、日本、米国、カナダの都市部の約100万平方キロメートル。日本であれば、人口の90%程度をカバーする居住地域が対象としている。将来は、欧州やアジアにもエリアを広げる意向である。

 高精細3D都市データの価格は、地図データ1平方キロメートル当たり1万円から。25平方キロメートル以上から購入できる。NTTデータの筒井氏は「競合他社の類似サービスと比べれば3~4分の1の価格を実現した」と自信を見せる。

 販売は、NTTデータ、デジタルグローブのほか、AW3D 全世界デジタル3D地図をNTTデータと共同販売するリモート・センシング技術センターが手掛ける。