日本オラクルは2017年8月28日、垂直統合型システムやサーバー、データベースアプライアンス(単機能サーバー)、ストレージを含むITインフラ製品について戦略説明会を開いた。このなかで、セキュリティ関連ビジネスを強化したり、ストレージやサーバーで新製品を投入したりすることを明かした。

 日本オラクルは、オンプレミス環境からプライベートクラウドなどへシステムを移行するため、“オンプレミスのシステム構成を最適化したうえで移行する”といった、クラウドへのパス(道のり)を複数、顧客企業に示して、クラウド移行の支援体制を整えている。

写真●説明会で登壇した日本オラクルの大月剛常務執行役員クラウド・システム事業統括
写真●説明会で登壇した日本オラクルの大月剛常務執行役員クラウド・システム事業統括
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 しかし、説明会で登壇した日本オラクルの大月剛常務執行役員クラウド・システム事業統括は「現状ではオンプレミス環境で運用するお客様は多い。引き続き、オンプレミス環境の運用を支援できるようITインフラ製品の充実も図っていく」と説明した。ITインフラ製品の適用を促進するため、2017年6月から始まる2018年度のITインフラ製品の営業体制は、垂直統合型システム、サーバー、データベースアプライアンス、ストレージの四分野に分けて整えるという。

写真●説明会ではITインフラ製品の営業体制は四分野に分けて整えると説明。ただし、顧客企業それぞれの営業担当者は従来通り配置するという
写真●説明会ではITインフラ製品の営業体制は四分野に分けて整えると説明。ただし、顧客企業それぞれの営業担当者は従来通り配置するという
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 それに加えて2018年度に日本オラクルが新たに取り組むのが、セキュリティ対策支援事業だ。具体的には、クレジットカード情報保護のためのセキュリティ基準「PCI DSS」に準拠したシステムインフラ整備の支援を進める。日本クレジット協会などは2018年3月までに、EC(電子商取引)加盟店にPCI DSSに準拠するか、カード情報を非保持化するか、対応するよう求めている。

 日本オラクルは、PCI DSSの準拠を目指す企業に対して、データベースアプライアンスのOracle Database Applianceや、データベースとアプリケーションサーバーを稼働できるアプライアンスのOracle MiniClusterS7-2を提案していく。「これらのアプライアンスは、暗号化をはじめとするセキュリティのオプション機能が利用できる。PCI DSSに沿ったシステムの構築・運用が迅速かつ簡単に行える」と、大月常務執行役員は説明する。

 さらにストレージやサーバー分野では2018年度に新製品を投入していく。ストレージでは2017年8月28日、中規模のテープ・ストレージ製品の新版「StorageTek SL4000 モジュラー・ライブラリ・システム」を日本で提供し始めると発表した。従来製品に比べて、最大格納できるカートリッジ・テープ数はおよそ1.5倍の9000巻、テープドライブは従来の約2倍である120台を搭載できるようにした。

 大月常務執行役員は「デジタルコンテンツやヘルスケア分野のデータなど様々な分野でデータを長年管理するニーズが高まっている。テープ・ストレージはディスクに比べて低コストだったり、大容量のデータを格納できたりするメリットがあるので、今後改めてその良さをアピールしていきたい」と話す。サーバー分野では今後、2018年の上半期にかけての間で、次世代SPARCプロセッサを発表する見通しだという。

 このほか、アプライアンス事業は過去1年で、Oracle Database Applianceの国内の売上高が、前年度比1.5倍に伸びた。今後1年は、中規模システム向けデータベースソフト「Oracle Database Standard Edition」が稼働するインフラの刷新需要を取り込んでいく。

 データベース専用機「Oracle Exadata Database Machine」など垂直統合型システム製品はここ1年、研究用機器などを手掛ける商社、アズワンなどで採用が進んだ。「今後もお客様企業の事業に貢献できる成果を上げていきたい」と大月常務執行役員は意気込みを語る。