NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、NECなどIT企業6社は2017年8月28日、ITアーキテクトやインフラエンジニアの育成を目的とする協議会「高度ITアーキテクト育成協議会(略称AITAC)」を設立し、活動を開始したと発表した。協議会の理事長には、慶應義塾大学の村井純環境情報学部長が就任。「IoT(Internet of Things)時代の本格化を見据え、大規模なITインフラを構築できる技術者、人材を育てるための環境を整備する」(村井氏、写真)。

写真●村井純理事長(中央)ら高度ITアーキテクト育成協議会の設立メンバー
写真●村井純理事長(中央)ら高度ITアーキテクト育成協議会の設立メンバー
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 協議会を共同で設立した企業はNTTコムとNECのほか、伊藤忠テクノソリューションズ、KDDI、シスコシステムズ、日商エレクトロニクスの各社。6社が協議会を設立した背景には、IoTなどを対象とするITシステムの構築案件が増加し、ITインフラを設計するITアーキテクトや、ITインフラの運用管理を担うインフラエンジニアの不足が目立ってきたためという。

 協議会の理事の一人であるNTTコムの山下達也技術開発部部長は、「ネットワーク仮想化技術のSDN(Software-Defined Networking)/NFV((Network Functions Virtualization)など、ソフトウエアを操れる人材をいかに育成するかが課題になっている」と打ち明ける。もちろん人材育成に取り組んではいるものの、単独での取り組みは限界があるという。

 そこで共同で協議会を設立し、スキル習得のための体系的なカリキュラムを大学など教育機関と共同で作成するほか、大学などと連携して講座やセミナーを展開することにした。講座やセミナーは、IT企業の人材だけでなく、ユーザー企業のIT担当者、学生などにも開放する。

 具体的な活動は、2017年9月下旬に本格化させる。作成するカリキュラムを基にした寄付講座を慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)に設置。この講座を試験的な位置付けとし、その後は適宜カリキュラムを見直した上で、東京大学など都内の大学や専門学校などに拡大する考え。併せて、2017年中には協議会が主催するセミナーも始める計画である。