日立製作所は2017年8月30日、イベント駆動型フレームワーク「Hitachi Application Framework/Event Driven Computing(HAF/EDC)」を9月1日に販売開始すると発表した。大量データの高速処理が必要なIoT(Internet of Things)アプリの開発を支援するソフトであり、同社のIoTプラットフォーム「Lumada」の実行管理基盤としても位置づけられる。

 「HAF/EDCは、もともと通信事業者の顧客や課金情報の管理のために開発したソリューション。IoT向けに機能を強化し、デジタル化のためのPoC(概念検証)を素早く始められる。電力や交通などの社会インフラや製造・流通、金融といった様々な分野に広げたい」。日立製作所 社会システム事業部 社会・通信ソリューション本部 イノベーションソリューション開発部 担当部長 安部哲朗氏は、HAF/EDC提供の狙いをこう話す。

 HAF/EDCは、「分散処理基盤」と「イベント処理基盤」、それらの上でIoTアプリ開発を支援する「IoT共通フレームワーク基盤」の3つで構成する。

イベント駆動型フレームワーク「HAF/EDC」の処理概要
イベント駆動型フレームワーク「HAF/EDC」の処理概要
(出所:日立製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 分散処理基盤は、大量のデータ(イベント)に対し自動負荷分散を行い、高速処理するための機能。外部イベントを受け取ったアダプタが、Javaのメッセージに変換したうえで、適切な処理(メッセージプロセッサ)に振り分ける。分散処理では、非同期で多くの業務ロジックが実行されるが、イベント処理基盤がそれらの順序を制御する。

 IoT共通フレームワーク基盤は、「格納」「分析」「参照」という標準的なプロセスについて、データ処理機能を提供。データベースや分析エンジン、BIツールなどを連携し、一連のIoTアプリを開発する。格納機能としては、XMLやCSVなどのパース機能を備えるほか、オープンソースの分散データベース「Apache HBase」や検索エンジン「Elasticsearch」などとの連携機能を備える。

 日立製作所 社会システム事業部 社会・通信ソリューション本部 イノベーションソリューション開発部の藤原知也氏は「格納してあるデータを呼び出し、KNIMEを連携して分析を行い、分析結果をRESTで参照したりBIツールと連携させたりといった処理が簡単に実現できる」と、HAF/EDCの手軽さを訴求する。