日本マイクロソフトと米国のオフィス家具メーカーであるスチールケースは2017年8月24日、ITを駆使して社員が創造性を発揮しやすいオフィス環境を提案するサービス「クリエイティブ スペース」を共同展開すると発表した。タブレット型やデスクトップ型、ホワイトボード型などをラインアップする日本マイクロソフトの「Surfaceシリーズ」を活用。会議や作業など、具体的なシーンに合わせて必要なデバイスと、それらが使いやすいデザインを採用した家具をワンセットで企業向けに販売する。協調作業に必要なクラウドサービス「Office 365」も併せて提供する。テクノロジーとオフィス環境の融合を図り、政府が掲げる「働き方改革」の普及を後押しする狙い。

写真●スチールケース代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)のジェームズ P.キーン氏(左)と日本マイクロソフト代表取締役 社長の平野拓也氏(右)
写真●スチールケース代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)のジェームズ P.キーン氏(左)と日本マイクロソフト代表取締役 社長の平野拓也氏(右)
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 提案するシーンとしては、デスクトップ型「Surface Studio」とホワイトボード型「Surface Hub」を使ってリラックスしながら二人で共同作業する「デュオ スタジオ」、タブレット型「Surface Pro」やノート型「Surface Book」を持ち寄って複数人がアイデアを共有しながら試作品を作り上げる「メーカー・コモンズ」などがある。日本マイクロソフトやスチールケース日本法人は、それぞれ本社内のショールームに実際に家具などを展示して企業との商談に活用する。

 スチールケース代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)のジェームズ P.キーン氏は、「技術を組み合わせた家具なら人々の行動を変えられる。結果として潜在力を解き放てる」と協業に期待を寄せる。日本マイクロソフト代表取締役 社長の平野拓也氏は、「働き方改革は“いつでもどこでも”という発想だけでは不十分。創造性や生産性を促進可能なオフィス環境とセットで初めて効果が生まれる」と2社がタッグを組む意義を語った。

 そのためにはオフィス家具は、IT機器の使用に十分配慮したデザインである必要があるという。「机やイスの高さ、照明の角度などをSurfaceが最も使いやすく設計され、調整も可能なクリエイティブ スペースなら、競合他社のオフィス家具では得られないレベルで創造性を発揮できる」(平野社長)。

写真●リラックスしながら二人で共同作業する「デュオ スタジオ」などいくつかの具体的なシーンごとに提案する
写真●リラックスしながら二人で共同作業する「デュオ スタジオ」などいくつかの具体的なシーンごとに提案する
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 1912年創業のスチールケースは全世界に社員約1万人を抱え、売上高31億ドル(3390億円、2016年度)のオフィス家具大手。オフィス以外にも医療施設や教育施設向けで空間デザインに基づいた家具に強みがある。同社のコミュニケーション バイスプレジデントであるゲイル・モートレイ氏によると、「創造性はなにも“芸術”のためだけに必要なものではない。他人と一緒に過ごすオフィスも、現場がどう仕事するのかを理解したうえでデザインすれば、ビジネスの成長につながる」と同社がオフィス家具を設計する際の基本姿勢を説明した。

 今回の協業は、2017年3月に発表した米マイクロソフトとスチールケースとの提携に基づくもので、日本は展開先として4番目の国となる。両社は今後、オフィスの移転や開設のタイミングを狙って法人需要を開拓していく方針だ。