クアルコムジャパンは2017年8月24日、IoT機器の製品化を支援するサンダーソフトジャパンと共同で、同社の携帯機器向けプロセッサ「Snapdragon」のIoT活用に関する説明会を開催した。国内ではサンダーソフトジャパンのIoT機器量産化支援サービスを主軸に事業を展開するという。

 説明会では、スマートフォン向けプロセッサで広く使われているSnapdragonと、Snapdragonを使ったIoT開発を支援するサービスの優位性をアピールした。

クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズの須永順子副社長
クアルコムシーディーエムエーテクノロジーズの須永順子副社長
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サンダーソフトジャパンの今井正徳社長
サンダーソフトジャパンの今井正徳社長
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 説明会に登壇したクアルコムシーディーエムエーテクノロジーズの須永順子副社長は、「IoTの市場では顧客の数が多く、それぞれの販売数量は少ないうえに、製品寿命がスマートフォンの2~3年の数倍に及ぶ」とクアルコムの現状認識を説明。対応策として、10年間の販売継続を約束する組み込み向けの「Snapdragon 410E/600E」やハイエンドの「Snapdragon 835」を、リファレンスデザインと技術サポートを組み合わせて提供する体制を整えたとする。

サンダーソフトとの協業によるものも含め、クアルコムで25以上のリファレンスデザインを提供。
サンダーソフトとの協業によるものも含め、クアルコムで25以上のリファレンスデザインを提供。
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サンダーソフトの量産化支援サービス「TurboX SOM」のラインナップ。
サンダーソフトの量産化支援サービス「TurboX SOM」のラインナップ。
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 ただ「クアルコム単体では、国内の顧客が求めるリファレンスデザインのカスタマイズや少量生産のニーズに応えきれない」(須永副社長)。このために中国サンダー・ソフトウエア・テクノロジーと2016年に協業し、IoT専業の合弁会社の中国サンダーコム・テクノロジーを設立。国内ではサンダーソフトジャパンが試作から量産化までの工程を支援する。「クアルコムにIoTの商談が持ち込まれた場合、国内ならサンダーソフトジャパンをまず紹介する」(同氏)という。

 サンダーソフトジャパンの今井正徳社長は「Snapdragonを知り尽くしているのがサンダーソフト」と競合に対する優位性を説明する。同社の「TurboX」ソリューションは、Snapdragonプロセッサを用いたドローンやロボット、スマートカメラやVR機器といったIoT製品を、工場での量産支援を含めて一括提供するというもの。開発キットによる試作(PoC:概念実証)から量産までを一括支援する。

 今井社長はIoTで重視される要素として、クラウドに処理を集中させずに端末側に分散させるエッジコンピューティングと人工知能(AI)を挙げた。サンダーソフトの開発キットを米アマゾン・ウェブ・サービスの機能の一部をIoT側で実行する「AWS Greengrass」に対応させたほか、画像認識を中心にAI機能を自社開発しているという。音声認識や自然言語処理は今のところ英語のみの対応だが、「2017年第4四半期をめどに、他社との協業などで日本語に対応させる」(サンダーソフトジャパンの今井社長)。

サンダーソフトの「TurboX Samera SOM」を使ったスマートカメラ。カメラとセンサー群によるホームセキュリティ製品。
サンダーソフトの「TurboX Samera SOM」を使ったスマートカメラ。カメラとセンサー群によるホームセキュリティ製品。
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中国Zero Zero Roboticsの自撮りドローン「Hover Camera Passport」はサンダーソフトのTurboXサービスを利用。
中国Zero Zero Roboticsの自撮りドローン「Hover Camera Passport」はサンダーソフトのTurboXサービスを利用。
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画像から食品のカロリーを計算する技術デモも披露。現状ではリファレンスには含まれないという。
画像から食品のカロリーを計算する技術デモも披露。現状ではリファレンスには含まれないという。
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