クレジットカード「ダイナースクラブ」を運営する三井住友トラストクラブは2017年8月24日、ダイナースクラブの会員向けに高級飲食店を当日予約できるサービス「ごひいき予約」を始めたと発表した。三井住友トラストクラブが飲食店から予約当日など直前のキャンセルで生じた空席を買い取り、会員向けに再販する。

 新サービスはスマートフォン向けメッセージアプリケーション「LINE」を手掛けるLINEと、高給飲食店の予約や決済サービス「ポケットコンシェルジュ」を手掛けるポケットメニューと共同で運営する。

クレジットカード「ダイナースクラブ」の会員向けサービス「ごひいき予約」の概要
クレジットカード「ダイナースクラブ」の会員向けサービス「ごひいき予約」の概要
(出所:三井住友トラストクラブ)
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 三井住友トラストクラブの西村智博常務は「あくまで会員向けサービスの強化が目的で、(ごひいき予約での)利益は考えていない」と話した。飲食店からキャンセル枠を買い取る価格は「飲食店ごとの契約によるが、できるだけ食事の価格に近い額にする」(同)。キャンセル枠再販をLINEで通知して、ポケットコンシェルジュの専用ページを通じて決済を促す。

三井住友トラストクラブの西村智博常務
三井住友トラストクラブの西村智博常務
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 ダイナースクラブは飲食店で使える会員向けサービスが特徴のクレジットカードで、年会費は税別2万2000円から。1万円以上のコース料理を1名分無料にする会員向けサービス「エグゼクティブ ダイニング」は年間数万件の利用がある。西村常務は「飲食にこだわりを持つ会員が多く、予約が難しい高級店であれば当日のキャンセル枠でも再販できると考えた」と話した。

 LINEの田端信太郎上級執行役員は「LINEは広告配信から利用までの時間が短く、(当日キャンセル枠の再販のような)タイムリーな告知に適している」と話した。広告の内容によっては配信から10分で広告からのアクセスがピークに達するという。

 ポケットメニューのCEO(最高経営責任者)であり、元和食料理人の戸門慶氏は「(ごひいき予約を通じて)クレジットカードを使った飲食店の予約が増えてほしい」と話した。同社のポケットコンシェルジュは予約時にクレジットカード情報を必要とし、キャンセル料や飲食代の決済を自動化できる。ポケットコンシェルジュを基にごひいき予約の専用サイトを運営する。

ポケットメニューの戸門慶CEO(最高経営責任者)(左)と三井住友トラストクラブの西村常務(中央)と、LINEの田端信太郎上級執行役員(右)
ポケットメニューの戸門慶CEO(最高経営責任者)(左)と三井住友トラストクラブの西村常務(中央)と、LINEの田端信太郎上級執行役員(右)
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 三井住友トラストクラブは同様のサービスが登場してダイナースクラブ会員限定のサービスとしての価値を失うといったリスクは少ないと見る。西村常務は「キャンセル枠を買い取るからできるサービスで、資金が必要だ。会員向けサービス強化のためなら年間数千万円規模の投資ができる」と話した。