企業のデジタルリスクを予兆・検知・解決するソリューションを手がけるエルテスは2017年8月22日、テロなど海外リスク情報の収集・分析や国内各種イベント会場の警備における安全対策などを提供する「エルテスセキュリティインテリジェンス」を設立すると発表した。業務開始は9月1日で、社長には元防衛庁(現防衛省)防衛局調査第一課長、内閣総理大臣秘書官、警察庁警備局長などの要職を歴任した金重 凱之氏が就任する。

エルテス 代表取締役社長の菅原 貴弘氏(右)とエルテスセキュリティインテリジェンス 代表取締役社長に就任する金重 凱之氏(左)
エルテス 代表取締役社長の菅原 貴弘氏(右)とエルテスセキュリティインテリジェンス 代表取締役社長に就任する金重 凱之氏(左)
(撮影:林 徹)
[画像のクリックで拡大表示]

 都内で開催された新会社設立説明会では、エルテス 代表取締役社長の菅原 貴弘氏が新会社について「2020年までにテロリストの検知をビッグデータ解析で行うことを具現化する会社」と説明。エルテスでは、ネットの炎上対策や風評被害対応を行っているが、新会社では犯罪のデジタル化やテロ増加の解決を目指すという。

 菅原氏によれば、警備活動も本来は情報を収集、分析することで最大限効果的な配置を行う必要がある。「セキュリティインテリジェンスが必要であり、その重要性を社名に盛り込んだ」と紹介した。

 新会社の具体的な事業内容は、まず不特定多数が集まるイベントに対して、オープンソースからリスク情報をサーチして、脅威となる情報が見つかれば警備の配置やプランニングを行う「イベント安全対策」を提供する。さらに、海外進出にともない子会社の設立や海外に赴任するのに対し、海外リスクの情報を分析して危機対応計画の立案や海外赴任者の研修を行う「海外リスク情報分析」も実施する。

 また、企業や個人に対してソーシャルメディアを中心とした情報を分析する「デジタル信用調査」も計画中という。イベント安全対策は一回200万円~、海外テロ情報分析は月額50万円~の提供となる。

 警備計画に対してデジタルデータを使用することで「我々が狙う次世代型危機管理を実現する」と菅原氏は述べており、すでに伊勢志摩サミットでテロ検知予告情報を地元協議会に提供したという。

 菅原氏は、「常に『最悪のことを想定して最善の対策を行う』という警備の基本を守りつつ、多くの情報を収集して分析、ここにプロの知見とAIを組み合わせる」と述べ、新会社における警備事業の方向性を説明した。