米Qualcommは2017年8月20日(米国時間)、英ARMのアーキテクチャーに基づくサーバー用SoC(System on a Chip)「Centriq 2400」に搭載するCPUコア「Falkor」の詳細の一部を発表した。サーバーに特化した独自開発のコアで、64ビット命令セットである「ARMv8」に対応する。

 Qualcommの子会社である米Qualcomm Datacenter Technologiesが開発したCentriq 2400は、2017年下期に出荷を開始する予定。製造プロセスは10ナノメートルとなる。2017年3月には米Microsoftが、サンプル出荷されたCentriq 2400を使ってARM版の「Windows Server」を検証し始めている。

 QualcommはCentriq 2400を開発するに当たって、ARMが開発したサーバー対応CPUコアである「Cortex-A7Xシリーズ」を採用するのではなく、Qualcomm独自のCPUコアであるFalkorをゼロから開発した。Qualcommはスマートフォン向けのSoCである「Snapdragon」でも「Scorpion」や「Krait」、「Kryo」といった独自CPUコアを開発している。Qualcommとしては、独自コアで競合のARMプロセッサメーカーに差をつけたSnapdragonでの成功シナリオを、サーバー向けARMプロセッサでも再現する狙いだ。

 Centriq 2400は、Falkorコアを48個搭載する。SoC内部には2つのFalkorコアと共有L2キャッシュからなる「Falkor Duplex」が24個あり、Falkor Duplexはリングバスを通じて他のFalkor DuplexやL3キャッシュと接続している。SoC内部のリングバスの帯域は250Gビット/秒である(図1、図2)。

図1●Falkorのビルディングブロック
図1●Falkorのビルディングブロック
出典:米Qualcomm
[画像のクリックで拡大表示]
図2●Centriq 2400の概要
図2●Centriq 2400の概要
出典:米Qualcomm
[画像のクリックで拡大表示]

 Qualcommでサーバー製品のプロダクトマネジメントを担当するChris Bergenシニアディレクターは、「48コアを搭載することで、クラウドコンピューティングに特徴的な高スループットのワークロードに対応する」と説明する。

 またBergen氏は、「Centriq 2400はスマートフォン向けの電力管理をサーバープロセッサに適用しており、消費電力を抑えられるのが特徴だ」と説明する。例えばCentriq 2400では、前述のFalkor Duplex単位で電圧を変更したり、電源オフにしたりできる。CPUコアの電圧をきめ細やかに変更することで、アイドル時の消費電力を削減できるという。

 QualcommはFalkorコアの詳細を、2017年8月21日からシリコンバレーで開催されるプロセッサのカンファレンス「Hot Chips 2017」で公開する予定。