総務省は2017年12月から、全国の診療所や病院が持つ医療情報の連携基盤構築を目的とした実証実験を順次開始する。2017年8月10日、明らかにした。既に五つの実証実験の準備を進めており、合計で8億円を投じる。実証実験の結果を経て、2020年度の稼働を目指す。

 連携基盤の構築によって、個人の電子カルテや医師が出す処方箋の電子データなどを、遠く離れた病院や薬局などで共有できるようにする。患者が引っ越しや旅行などでかかりつけの病院を変えても、新規の医師はそれまでの電子カルテ情報を基に、正確かつすぐに患者の状態を把握できる。

 群馬大学医学部付属病院と山形県酒田市の日本海総合病院における実証実験では、マイナンバーカードを使って通院歴のある患者に連携基盤を使ってもらう。個人の医療情報はプライバシーの観点から情報の共有が難しい分野だ。「マイナンバーカードを患者の協力を得て医療情報の共有に活用しようという取り組みは、ほかにはない試み」(総務省)という。

 遠隔医療向けに、4K・8Kといった高精細・大容量データを伝送可能にするネットワークの整備も進める。この実証実験には東京大学と京都大学が協力する。