熊本県の肥後銀行と青森県のみちのく銀行が、Linuxで稼働するオープン勘定系システムの開発に着手していることが、日経コンピュータの取材で2017年8月10日までに分かった。開発ベンダーは日立製作所。新システムの採用で、機動的な商品投入などにつなげる狙いがある。

 肥後銀とみちのく銀は、共同化プロジェクト「Banks'ware」の参加行で、現在は日立製メインフレーム上で同社製の勘定系アプリケーションを稼働させている。もともとは、島根県の山陰合同銀行を含め3行で利用していたが、2016年11月に同行がNTTデータの「地銀共同センター」に移行することを決めており、残された2行の去就に注目が集まっていた。両行は今後も、日立製の勘定系システムの利用を続けることになりそうだ。

 日立は静岡銀行と、Linuxで稼働する次世代オープン勘定系システムの開発に取り組んでいる。預金や融資といった業務アプリケーションをコンポーネント化すると共に、手数料管理や期日管理といった共通機能を切り出して集約。保守開発の影響範囲を局所化し、新商品の投入などに要する開発工数や期間を抑えることを目指す。肥後銀などが導入を予定する新勘定系システムも、同じコンセプトを踏襲するとみられる。

 肥後銀は2015年10月に鹿児島銀行と経営統合し、九州フィナンシャルグループを発足した。鹿児島銀は現在、日本ユニシスのオープン勘定系パッケージ「BankVision」を利用中だ。システム統合の方針が決まっていないなかで、肥後銀は新システムの構築に動いた格好だ。今後のシステム統合計画に、何らかの影響を与える可能性が出てきた。