博報堂アイ・スタジオは2017年8月8日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器と低消費電力の無線通信技術「LPWA(Low Power、Wide Area)」を使って登山者の位置を把握できるサービス「TREK TRACK」を山梨県北杜市の瑞牆山(みずがきやま)で提供すると発表した。8月18日から予約を受け付け、9月1日から開始する。利用料はキャンペーン中で当面は無料。キャンぺ―ンの終了時期は未定だが、終了後は1日当たり990円を予定している。

 都内で開催した記者説明会で、同社 TREK TRACK推進室 室長の川崎 順平氏は「アウトドアは自然を相手にするため、天候悪化による登山道の把握喪失や遭難、雪崩などのリスクを避けられない」と指摘。「(登山のリスクは)従来、『自己責任』とされていたが、テクノロジーによって『アウトドアの自由』をサポートできないかと考え、TREK TRACK推進室を立ち上げた」と設立経緯を説明した。

博報堂アイ・スタジオ TREK TRACK推進室 室長 川崎 順平氏。手に持っているのがTREK TRACKの端末で、左の白い箱がLPWAゲートウエイ。左下は太陽電池ユニット
博報堂アイ・スタジオ TREK TRACK推進室 室長 川崎 順平氏。手に持っているのがTREK TRACKの端末で、左の白い箱がLPWAゲートウエイ。左下は太陽電池ユニット
(撮影:林 徹、以下同じ)
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 TREK TRACKは山岳地帯など携帯電波が届きにくいエリアでも位置情報を把握しやすくするサービス。利用希望者が申し込むと事前にTREK TRACKの端末が郵送される。登山者が登山中に携帯すると1分ごとに自分の位置情報を登山ルートに設置されたゲートウエイ機器に送信する仕組みだ。

TREK TRACKの利用シーン。右の黒いユニットをザックのポケットに入れると登山者の位置を毎分、ゲートウエイに送信する。スマートフォンのアプリを使うとTREK TRACKを使うユーザーの位置も分かる
TREK TRACKの利用シーン。右の黒いユニットをザックのポケットに入れると登山者の位置を毎分、ゲートウエイに送信する。スマートフォンのアプリを使うとTREK TRACKを使うユーザーの位置も分かる
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 家族や知人は登山者の「ユーザーコード」を知っておけば、登山者が「どこにいるか」をリアルタイムで把握できる。登山者がHELP機能を使うと24時間体制で緊急連絡先に通知が届く。2018年初頭からスキー場での利用も予定しているという。

家族や知人は登山者が「今どこにいるのか」をWebサイトからリアルタイムに把握できる。後日の行動ログとしても利用できる
家族や知人は登山者が「今どこにいるのか」をWebサイトからリアルタイムに把握できる。後日の行動ログとしても利用できる
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