セールスフォース・ドットコムは2017年8月8日、設備機器の設置・保守サービス企業向け作業管理ツール「Field Service Lightning」の機能強化を発表した。画像認識の人工知能(AI)技術「Einstein Vision for Field Service」に対応させた。

 Field Service Lightningは保守サービスの作業技術者(フィールドエンジニア)の業務効率改善を支援する。作業指示者が現場の技術者に作業を割り当てる機能などを備える。

 新たに対応したEinstein Vision for Field Serviceを使うと、例えば技術者が保守対象の機材や部品を現場で撮影し、AIが保守作業に必要な機材や部品を特定するといった作業効率化が図れる。同社の大森浩生マーケティング本部プロダクトマーケティングシニアマネージャーは「部品の外観や品番が似ていて技術者が間違いやすい状況でも、AIが正確に特定するので適切に作業を進められるようになる」と話す。

 画像認識AIの特徴を説明するため、同社は2種類の椅子を識別するデモを実施。事前にそれぞれの椅子を様々な角度から70枚ほど撮影し、Einstein Visionに学習させておいたという。

Einstein Vision for Field Serviceのデモ
Einstein Vision for Field Serviceのデモ
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 結果は、一方の椅子は正確に認識したものの、もう一方はうまく認識できなかった。学習データとデモで撮影した際の床の色が異なっていたため、特徴を正しく捉えられなかった可能性がある。その後、床の色が学習データと同じ場所で同じ椅子を撮影し、あらためて認識させたところ、今度は正しく認識した。

 画像認識AI以外に加え、Field Service Lightningは「機材と在庫管理」「Field Service Analytics」と呼ぶ機能を拡充。「機材と在庫管理」機能は保守作業に必要な要員や機材を適切に割り当てることを支援する。「Field Service Analytics」機能はBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールである。現場への移動時間や作業時間などを計測し、可視化することで現場作業の改善活動などに生かせるとしている。

 Einstein Vision for Field Serviceは2017年8月8日時点ではパイロット版との位置付けで、製品版の提供は2018年前半を予定する。「機材と在庫管理」は製品版の提供を開始し、価格は1組織当たり1万8000円から。「Field Service Analytics」はField Service LightningとセールスフォースのBIクラウド「Service Analytics」の両ツールのライセンス保有ユーザー向けに提供を開始した。